Episode 2 狼男の幸せな晩餐
チョコレートペイン
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らない」
口ではなんとでも言えるが、キシリアに前世の記憶があって、しかも前は男だったなどと話したところで誰が信じるというのだろうか?
おそらく生暖かい目をされて、最悪心の病気かと思われるのが関の山だ。
「そういう問題じゃないんです」
あいにくと、周りから痛い子として認定される趣味は無い。
今は腕を掴んでいるノルベルトの手を外そうと全力で抗ってはみるものの、鋼のように硬い筋肉に包まれた指先はさほど力をくわえていないにも関わらず微動だにしなかった。
「ゴメン。 そんな言い訳じゃ納得できない」
――だから俺は君に求愛する。
声のトーンがあからさまに低くなり、同時にノルベルトは濡れた黒い鼻先や長い舌を首やうなじにこすり付けてきた。
さらにその白い首に長い牙の先端を軽く押し当てる。
首を甘噛みするのは、人狼にとっては口付けにあたる求愛行動だ。
――まずい。
キシリアは内心焦りを感じ始めていた。
人の心はその肉体に引きずられるものである。
そして、そこに男の魂が入っていても体が求愛に応えてしまうのだ。
「……きもちいい? 大丈夫。 出来るだけ優しくするし、俺、けっこう自信あるから」
その女の体を良く知っている湿った舌の感触と、体から立ち上る雄の匂いに、雌であるキシリアの体がじんわりと反応しはじめた。
その反応を感じ取ったノルベルトは、その指を触れてはならないところに忍び込ませる。
「や、やめて……」
――精神的にとはいえ、BLは嫌だ!
いくらその愛撫が気持ちよくても、理性がそれはダメだと拒絶する。
なのに、抗いたくても快楽の波にのまれて声すらまともに出すことが出来ない。
――こいつ、いったいどんだけ女慣れしてるんだよ!!
そんな心の拒絶とは裏腹に、くすぐるような優しい指使いに誘われて、キシリアの体から甘い蜜のような香りが漂い始めた。
ノルベルトがその反応を楽しむかのようにゆっくりと息を吸い込み、キシリアの耳元にそっと息を吹きかける。
いやあぁぁぁぁっ! 耳はダメぇぇぇぇっ!!
そしていつのまにか外から響き始めた雨音とリズムを合わせるかのように、彼の指の動きがその激しさを増していった。
だが、彼は強引に自分の欲を吐き出すようなことはしなかった。
そう、こちらの快楽を煽って屈服するのを待っているのだ。
ハンターが、獲物が疲れて動けなくなるのを待つように。
あぁ、ダメだ。 落される……
嵐のような刺激にどれだけの時間耐えただろうか?
ついにキシリアの腕がだらりと下がり、その膝が崩れ落ちる。
波打つように襲ってくる強烈な刺激の波に揉みくちゃにされ、キシリアはついに抵抗することをあきらめた。
そんなキシリ
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