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IS《インフィニット・ストラトス》〜星を見ぬ者〜
第二十五話『静かなる怒り』
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納得―――」

「隊長」

「?」

「部隊にお戻りください」

「何?」


スウェンは少し表情を強張らせる。


「我がシュバルツェ・ハーゼには隊長が必要なのです! 部隊の皆もあなたの帰還を待ち望んでます! 隊長、部隊にお戻りを!」


そのラウラの言葉に、スウェンは暫しの沈黙。


「……ラウラ、俺はあの時重要な作戦の指揮を放棄し、身内を優先した。感情に流されるような俺はあの部隊の隊長に相応しくはない」

「そ、そんな事……」

「話は終わりか? もう少しで次の授業が始まる、遅れないようにお前も急げ」


踵を返しスウェンは背をラウラに向ける。


「……隊長、一つ質問よろしいでしょうか?」

「何だ?」

「何故織斑 一夏とあそこまで友好的なのですか? あの男こそ隊長が部隊を離れる原因……あの男という存在が居たから……!」

「ラウラ、あいつは関係ない。それにあいつが居なかったとしても、状況は然程変わりはしないだろう。お前が織斑にそのような考えを持つのは間違いだ」

「た、隊長……」


見せた事のないスウェンの怒りにラウラはたじろいでしまう。スウェンはそのまま歩き去っていき、ラウラはその背中をずっと見ていた。


「……盗み聞きとは感心しないな」

「!?」


気づかれているとは思いもしなかった一夏はゆっくりとラウラの前に姿を現す。


「……確かに、隊長の言う事に一理ある。だが、私は個人的に貴様の事が気に入らない」

「どういうことだよ」

「貴様、隊長の事を尊敬しているな?」

「!?」


一夏は驚いた表情を見せ、縦に首を振り肯定を示す。


「スウェンは頭も良くて、ISの技能だってかなり高いし、それに誰からでも認められてる。俺は何時からかスウェンを目標にしてた……スウェンのようになりたいって、俺は思ってる」


スウェンに対する考えを言葉にした一夏。ラウラは変わらず冷たい表情で


「……やはり、昔の私と同じ目だ。だからこそ気に入らん……一つ忠告しておく」

「?」

「貴様は所詮貴様でしかない、あの人のようになるなど到底無理な話だ。それに気づかないようであれば、貴様はその程度の人間という事だ」

「俺は……スウェンのようになれない……?」


ラウラは一夏を一瞥しその横を通り過ぎていく。残された一夏はラウラの言葉で言いようのない感覚で胸がいっぱいであった。それと同時に、自分がどれ程スウェンのことを知らなかったのか、どれ程遠い存在だったのか。改めて感じた一夏だった。
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