「かつて何処かで そしてこれほど幸福だったことがあるだろうか (Wo war ich schon einmal und war so selig )」
奥底に眠るティベリウスの残滓である聖遺物がまるで打ち震えるかのように蠢きだす。
「あなたは素晴らしい 掛け値なしに素晴らしい しかしそれは誰も知らず また誰も気付かない (Wie du warst! Wie du bist! Das weis niemand, das ahnt keiner! )
幼い私は まだあなたを知らなかった (Ich war ein Bub', da hab' ich die noch nicht gekannt. )」
幾度となく繰り返されてきた創造。それは他ならぬ彼の創造が優秀であり、勝利を掴んできたが故にである。
「いったい私は誰なのだろう いったいどうして 私はあなたの許に来たのだろう (Wer bin denn ich? Wie komm'denn ich zu ihr? Wie kommt denn sie zu mir? )
もし私が騎士にあるまじき者ならば、このまま死んでしまいたい (War' ich kein Mann, die Sinne mochten mir vergeh'n. )
何よりも幸福なこの瞬間――私は死しても 決し[8]前話 [1]次 [9]前最後最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む