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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第二十七話 戦闘開始
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てしなく怖い。

「誰、だ……?」

後ろから聞こえる声はアルフレートが伏して嘆いていたパシアスの声、だがまるで全く別人のように感じ、それは何か愛しいまるでかつての恋人(・・)のような……

『貴方も良く知っているでしょ?それとも思い出せない?そうね、自分の事を理解しきれる人間なんてそういないでしょうし』

ありえない。何が言いたい。何が起きている。そう思う最中にマキナは起き上がり、俺に話しかけてくる。

「お前も俺も共にカール・クラフトの玩具だ。兄弟にそんな目で見られるのは心外だな」

「兄弟…?違う……」

未だ後ろから声を掛けていたパシアスに気付いた様子が無いかのように俺に話しかけるマキナ。だが、おかしい。俺の方を向いているマキナは俺の後ろにいるはずのパシアスに気が付かない道理が無い。
そして何より俺は兄弟と言われたことに納得と同時に違和感を覚えた。

「比喩的な表現だが意味は違わん。俺はお前の事を良く知っているぞ」

知っているから兄弟?違う。俺達には同じ血が流れている。奴が言いたいことも、俺が感じた違和感もそんな事じゃない。

「ある日気付けば、俺はハイドリヒの城に居た」

「城にいただと?」

マキナの拳を全身を使い懸命に紙一重で躱しながら口だけは勝手に動いていた。

「やはりな。正直、俺はお前に同情している。渇望に喰われ、単一思考しか出来なくなった人ですらない存在。お前は繰り返したいんだろう」

「――――――」

『だからある意味ではそれを止めるために私はここにいる』

俺は、俺の中で少しずつ何かが壊れ始める感覚を感じ、世界の螺旋が狂い始めているのを理解した。



******



―――諏訪原大橋―――

「奴にお膳立てされたことは気に食わんが、まあこの際その程度の些事はどうでも良い」

苦笑しながら橋上で向かい合う相手に言葉を継ぐエレオノーレ。

「毎度の事ながら奴はクラフトと同様に些か芸が過ぎる。我々ですら舞台に立たせようという気概そのものは認めるし、奴の数少ない好ましい点ではあるが……少々度が過ぎるのが奴の悪い癖だ」

奴、つまりはアルフレートの事をそう評価するエレオノーレ。まるで世間話でもするかのように敵である櫻井螢に話しかける。いや事実、彼女からしてみれば螢は世間話をする相手と然して変わらないのだ。
螢の放つ大火を前にしてもそれは揺らがない。当たり前だ。エレオノーレからしてみれば螢の火は小さすぎる。

「でだ、小娘。少しは対策を練ってきたか?」

そう螢に問いかけるエレオノーレ。その剣尖を少しは磨いてきたのかと尋ねる。いくら傷を負わせたとはいえ所詮は猫の引っ掻き傷程度のもの。まともな打撃を与えるならばもっと策は練らねば
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