終幕
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影が見えてくる。病院はもうすでに消灯しているのかほとんど灯りが落ちている。優は正面玄関に向かう。正面玄関はすでに閉ざされていた。しかし、和人が先に来ているらしく横の小さな門が開いている。優はママチャリでその門をくぐると駐車場の横にママチャリを止めて、病院の入り口に向けて走る。
広い駐車場の途中、白いセダンから人の頭が見える。その顔には殺意が浮かび上がっていて、スモークガラスでない車の窓からはギラリと光るナイフが見えた。そして、何かを何度も踏みつけているのか鈍い音が聞こえる。
優は更にスピードを上げて白のセダンに走る。そして白のセダンの屋根に手を置いて飛び越える。そして優はそのまま、その男に膝蹴りを決めると屋根の上に着地する。
「優……」
「カズか。危なかったな」
優はセダンから飛び降りると和人に手を差し出す。その手を取って立ち上がる和人は先ほど優が蹴った男に視線を移した。
「須郷はさっきので気絶したのか?」
「さっきの?ああ、顎に思いっきり決めてやったから大丈夫だと思う。でも、一応縛っとくか」
そう言って須郷と呼ばれる男に近づく。須郷は口から泡を吹いていて、気絶していた。優は素早く須郷のネクタイを取ると腕に巻きつけた。
「カズ、行こうぜ。こいつ、多分目を覚まさないと思うから」
「ああ」
優は和人に肩を貸してやり、病院に向かった。
広いエントランス前の階段をどうにか和人を登りきらせることができると自動ドアの前に立つ。開く気配がないため、横にあるスイングドアを押して入る。カウンターには誰もいなかったがその奥にあるナースステーションからは僅かな光と談笑が漏れいてた。
「すみません!」
優は声を出して数秒で女性看護師が二人出てくる。両方の看護師には訝しむような色の表情を浮かべていたが隣にいる和人の腕を見て驚いていた。
「どうしたんですか!?」
と、自分の服にも結構な量な血がついていたらしい。
「駐車場でナイフを持った男に襲われていたので助けました。男は白いセダンの後ろあたりで泡を吹いて倒れています」
二人の顔にも緊張が走る。すぐさま、年配のほうの看護師が機会を操作して細いマイクを顔に寄せる。
「警備員、至急一階ナースステーションまで来てください」
その呼びかけから数分、ちょうど近くにいたらしい警備員が現れる。看護師が状況を説明すると、通信機に何事か呼びかけてエントランスに向かった。ひとりの看護師もその後を追う。残った看護師は和人の傷の具合を確かめながら言った。
「君達、十二階の、結城さんと本庄さんのご家族よね?傷はこの腕だけ?君はどこも怪我していない?」
少々誤認があるようだが訂正するのもめんどくさいと思った優と和
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