終幕
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した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ゲツガから優に戻った。つまり仮想世界から現実世界に戻ってきた優はぱっと目を開ける。目の前には直葉の顔があった。直葉は優が目を開けたのと同時に飛び上がる。
「わっ、びっくりした!」
「スグ……」
「ご、ゴメン。勝手に部屋に入ってきて。お兄ちゃんは帰ってきたのに優君だけまだ帰ってきてなかったから心配になっちゃって」
身体に力が入るようになったら起こす。
「そんなに遅かったのか……遅れてゴメンな」
「優君も……ようやく全部終わったの?」
「ああ、終わったよ」
一瞬、ウィルスのことを思い出すが直葉には話すのはやめておく。しかも、あの世界で死にかけたことも正直話すのをやめておいたほうがいいだろう。
しかし、ほんの数日の間に直葉には何度も助けられたし、教えてもらった。優は直葉の頭に手を置 いて撫でた。
「本当にありがとな、スグ。お前がいなかったら、俺、ユキを助け出すことは無理だったかもしれない。お前には本当に感謝しているよ」
直葉は少し照れるようにもじもじさせた。そして意を決したように顔をあげて言った。
「ううん、あたしも本当に嬉しかったよ。ゲツガ君…ううん、優君の役に立てて」
直葉は優に近づいて肩に顔を埋めた。少し薄めの服装だったため肩の辺りに少しぬれた感じがした。これは涙だろう。
「じゃあ……ようやく帰ってきたんだね、あの人が…ユキさんが……」
「ああ、やっと……やっと帰ってきたんだ。スグ、俺はユキのところに行ってくる」
「うん、行って。きっとユキさんも優君を待ってると思うから」
「ゴメンな。じゃあ行ってくるよ」
そう言って優は掛けてあるコートを引っ張って着ると、部屋から急いで出る。縁側から靴を履いて、ママチャリをだして、玄関に行く。玄関には直葉が待っていた。
「あ、優君これ」
そう言ってサンドウィッチを差し出した。優はそれを受け取る。開きっぱなしのサッシを出てまたがる。
「じゃあ、行ってくる」
「気をつけてね。ユキさんにもよろしく」
「今度、スグにもちゃんと紹介するよ」
そして、ゲツガはペダルを力いっぱい踏みしめた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
雪のおかげで交通量がへってきているため優は遠慮なく飛ばせる。優は早くユキに会いたいと思ってスピードを上げる。優は何も考えずにただただ病院に向かうことだけに集中した。
しかし、もしも彼女が帰還していなかったときのことが頭の中でよぎる。病院のカーテンをくぐっても帰ってきていないユキを見て自分は耐えられるだろうか。しかし、頭を振ってその考えを追い出す。
ようやく、大きな建物の
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