第2話
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無い。 ミサイルが発射されたのだとしたら、まだ飛んでくるまでに時間があるはずなので皆落ち着いている。
それ以前に、あの様なたいそれた物言いが信じられる訳もないのであろう。
総帥とやらがボタンを押すと同時に画面は消え、議場の照明も元の明るさを取り戻していた。
「……これは、どういった余興ですかな? 真鳥総理?」
野党最大勢力のドンである、『大沢威一郎』が余裕たっぷりの表情で聞いてきた。 大凡、私の代で起こった重なる不祥事と、今回の件で政権交代でも狙っているのであろう。 というよりも、あのテロリストに声を荒げていたのは野党の人間しかいなかったのだが……。 お前たちがもう少しおとなしくしていれば、テロリストの会話ももっと長引かせることができたはずであろう。
大沢は先ほどのテロリストの言葉などまったく信じていない人間の一人のようで、余裕綽々の表情でこちらをニヤニヤと眺めている。 その他の野党議員もだ。
そんなイライラの時間は、ほかならぬ大沢自身の手で終了した。
なにも答えない私に、勝利を確信したのか「今日はこれまでと致しますか」等と勝手なことをほざきながら、職務放棄も甚だしく議場を出ていこうとする大沢。
しかし、扉を開こうとしても一向に開く気配が無い。 押しても引いてもウンともスンとも言わない扉に、皆の顔にも焦りの表情がうまれた。
「なんだこれは!!! どういうことだ、真鳥!!! さっさと開けんか!!」
「うぷぷ、さっき扉締めたよぉって言ったのに、何おバカさんな事をしているのかな♪」
今にも詰め寄らんばかりの大沢の言葉に、返事を返したのは私ではなく、可愛らしいがどこか苛立たせる声であった。
うわぁ、えげつないねぇ。
国会議事堂に向かって飛んでいる2000発のミサイルの映像や、各国首脳陣の慌ただしく動く映像を見せて動揺を誘い、あと一時間で国会議事堂にミサイルが到達することを宣言。
それに対して国会議事堂内は大慌て、大沢とかいう大物らしい政治家を筆頭に、ふーちゃんに命乞いを始める始末。
汚いねぇ、おっさんの鼻水まで垂らしたな泣き顔を見るのは。 いくら他人に興味がない束さんでも汚いものは汚いものと言っちゃうよ。
でも、あの真鳥とか言う総理は落ち着いてるね。 どーでもいいけど。
そろそろ、頃合だね。 ちーちゃんなら何の心配もいらないだろうけど……。
「ちょ〜っと待った!!! ミサイルは全て破壊させてもらうよ!!」
「……おや? あなたは一体何者ですか?」
「へっへ〜ん。 束さんは束さんだよ!!! そこの議員の人たちがどうなろうと私には関係がないからいいけど、日本を混乱に陥れるっていうのは聞き捨てならないね。
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