一話
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学園都市ツェルニに在籍する一般教養科一年、ヴァティ・レンが極僅かの者以外には気付かれず姿を消したその日、グレンダンに災厄が舞い降りた。ナノセルロイド・マザーI・レヴァンティンとしての使命を遂行すべくグレンダンに侵入したのだ。
先年に来襲したドゥリンダナとは異なりグレンダンそのものを包み込むような巨大な姿ではなかったものの、戦いの激しさは決して劣るものではなく都市表層の施設は全壊と言ってよい被害を受けることになった。
それだけに留まらず都市内部で繰り広げられた戦いは、敵味方双方の尋常でない破壊力を持つ攻撃によってグレンダンという都市の機能そのものへの損傷も激しいものとなった。
被害を受けたのは都市という物理的な面だけではない。
人類において最強と言っても過言ではないグレンダンが誇る剣、天剣授受者にも多数の死者が出ることとなった。
カウンティア・ヴァルモン・ファーネス。
リヴァース・イージナス・エルメン。
カルヴァーン・ゲオルディウス・ミッドノット。
ルイメイ・ガーラント・メックリング。
カナリス・エアリフォス・リヴィン。
サヴァリス・クォルラフィン・ルッケンス。
一度に六人もの天剣授受者が死亡するなどグレンダンの歴史において初めての事であり、これほどの実力を持つ武芸者が一度に死亡するような事態はこの世界が始まって以来無かったと断言できるほどである。
これほどにも多くの犠牲を払いレヴァンティンを倒したにも関わらず戦いは未だ終息を迎えてはいなかった。
頭上に位置する『月』、それが砕けたと思うと赤い炎に包まれたモノが降って来たのだ。
その姿は四足の獣、都市よりも巨大な姿と燃え盛る炎に包まれその勢いは空を焦がさんとばかりに猛っていた。
電子精霊の長、シュナイバルが予期し備えてきた災厄の姿がそこにあった。
更には突如グレンダンを守るように、あるいは獣を包囲するように姿を現した都市群。そこからはツェルニの前生徒会長のカリアン・ロスの演説が響き渡り、前代未聞の大規模ネットワークを形成すべく念威端子がせわしなく飛び回っている。
各都市の武芸者も出撃する準備を着々と整えつつあった。
グレンダンから離れたところに出現したにも関わらずその巨大さゆえに距離感を破壊している獣を、グレンダンの外縁部から見る人影があった。レヴァンティンとの死闘を生き抜いた女王アルシェイラ・アルモニスと天剣授受者たちだ。
「まったく今度はあんなのと戦うなんて、大変さー」
口調は軽いが表情は真剣そのものなのはハイア・ヴォルフシュテイン・ライア。だが緊張しているのは新顔の彼ぐらいで他の者はそんな様子を見せていない。
ニヤニヤ笑っている女王を筆頭に無愛想にタバコをふかしたり不機嫌にしていたり、周りの都市にいい女性が居ないか
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