第15話
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来れた。ロイがメイの状態を確認しようとした次の瞬間、とてつもない大きな爆発音と共に室内が埃と煙に包まれた。
俺達は壁を背にしていたが、埃と煙が辺りを包み込んだせいで視界が一気に悪化したため、辺りを視認できない上に埃と土煙のせいで呼吸がしにくい状況に陥った。
「ゴホ、コボ!な、何が有った!?直撃弾か!?」
ロイが噎せつつ叫ぶ。土煙で視界不良の中何とか辺りを確認しようとすると、突然煙が晴れてゆく。顔を上げると俺達が入ってきて、敵に崩落させられた入口の瓦礫が吹き飛んでいた。
「ロイ曹長!よく分からないが入口の瓦礫が無くなってるぞ!」
「なに!……よし!脱出するぞ!メイは俺が担ぐからカニス、援護してくれ!」
「了解だ!」
煙が瓦礫の無くなった入口から勢い良く抜けてく。少しずつ視界が開けてきた。俺は壁越しに廊下を覗き敵の方を確認する。出来れば敵が攻撃して来る前に脱出したいところだ。煙が晴れてゆくと俺の目に飛び込んできたのは、敵のガトリング砲が完全にくの字になり使い物にならなくなっているのと、そこに居た敵兵の死体が無数に床に転がり、その先に生き残りと思われる敵兵が蒼い髪の男に片手で持ち上げられている姿だった。
「カニス?どうした?敵はどうなっているんだ?」
「し、しし、死んでる!蒼い死神に殺されてる!」
「なにを言って……悠斗!?無事だったのか!?」
ロイ曹長がメイを背負って廊下に出る。その姿を見た悠斗が敵兵の死体を放り投げ、俺達の元に走ってきた。
「ロイ、カニス、メイ!3人とも生きてるな!」
「ああ!メイは気絶してるが、俺とカニスは無事だ!悠斗、外の爆発音はなんだ!?友軍の空爆か?」
「いや、俺が少々気を使って吹き飛ばしただけだ。敵の増援部隊は壊滅させた。基地司令部も制圧したから、もう大丈夫だ。後は友軍部隊の到着を待つだけだ」
その言葉に安堵した俺は、壁を背に地面に座り込んだ。先程まで興奮していたせいで気がつかなかったが、身体中に汗をかいていたらしく服がベットリと肌にくっついていた。服には埃も付いていたためかなり汚くなっていた。ロイ曹長と話をしていた悠斗が外に向かって敬礼していた。その姿を眺めていたが、体が鉛の様に重くなり眼を開けているのが辛くなってきた俺はそのまま襲ってきた睡魔に身を任せて意識を失うのだった。
カニスsideout
その後、この基地の制圧と海軍基地を制圧したことを足掛かりに、政府軍と反政府軍及びNATO軍は本格的な進撃を開始した。この国が春を向かえるのにはもう少し時間を要するのだった。
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