暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルなのは〜優しき狂王〜
外伝その三〜海鳴市・後編〜
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け流せても衝撃を散らすことはこの腕では無理か。)

 今現在、ライの腕はまだしびれていて万全に動かすことは出来ないでいた。

ライ(接近戦は危険。回避はできるが彼女は基礎もできているから時間稼ぎにしかならない。取れる方法は彼女を瞬時に無力化すること、か。)

 自分の中で即座に答えを出したライは一旦、目を閉じ深呼吸する。そして再び目を開いた時にはライの纏う空気が変化した。

士郎「!」

シグナム「これは……」

 先ほどとは雰囲気が変わったライに驚く2人。しかしそれはライの気配がごく自然になったからだ。

ライ「歩法の一『花瓣』」

 ライは短く呟くと、早くもなく、遅くもなく、ただ普通にゆったりと美由紀に近づいていく。

美由紀「……ハッ!」

 最初はライの意図が読めずに渋い表情をする美由紀であったが、すぐに表情を引き締め一撃を放つ。

ライ「………」

その一撃が放たれてからライは動く。それはそれまでと同じくただゆったりとした動作。客観的に見てもそれは美由紀の方が早いと断言できるものである。
しかしライは美由紀の一撃を余裕を持って躱した。

美由紀「え?……クッ!」

 躱されたことに一瞬驚くがすぐに次の一撃を放つ。その一撃は先ほどよりも早い一撃。再びライは攻撃が放たれた後に動き出すが、それも余裕を持って躱す。
 美由紀は一旦不利と考えたのか自ら後退する。

ライ「奥の歩法『花王』」

 美由紀が距離を開けた瞬間ライが呟く。それを聞いた数秒後、美由紀は浮遊感を味わった後、道場の天井を見ていた。



 今の試合を観戦していた士郎とシグナムの2人は信じられないものを見たと言う表情をしていた。

シグナム「高町殿、………今のランペルージの動きを認識できましたか?」

士郎「……いや………もう“覚えて”いない。」

シグナム「……」

 それきりお互いは無言。その2人の視線はライを捉えていた。
 ライは仰向けになっている美由紀を立たせて試合後の一礼をする。それが終わると士郎が2人に声をかける。

士郎「2人共、お疲れ様。いい試合だったよ。」

ライ「ありがとうございます。」

 一礼してくるライからは、先ほどの雰囲気は綺麗さっぱりなくなっていた。

美由紀「ライ君、強いね!最後の方のあれってなんだったの?」

 少し興奮気味にそう言ってくる美由紀に苦笑しながらライは答える。

ライ「昔、僕に剣術を教えてくれた人がいてその人から教わった歩法です。」

美由紀「へぇ〜、対峙してた時はよくわからなかったけど、どういう歩法なの?」

士郎「美由紀。他の流派の教えをそんなに気軽に聞くんじゃない。」

美由紀「はぁ〜い。」

 少し不満げ
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