外伝その三〜海鳴市・後編〜
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高町家・道場
日が落ち、いつもより明るい月の光で照らされた道場内には4人の人影があった。
その内の2人は手に木刀を持ち対峙している。そして残りの2人は対峙する2人を伺うように道場の端の方で立っていた。
対峙する1人はそれぞれ普通の物よりも短めの木刀を両手に1本ずつ持ち、もう1人は普通の木刀を1本構えて持っていた。
道場内は静かで誰も音を立てようとはしていない。だがその静粛は一瞬で破られる。対峙していた2人がほぼ同時に踏み込み斬撃を繰り出す。正確には斬撃ではなく打撃なのだが、そう錯覚するほど2人の繰り出した攻撃は鋭かった。
2本の木刀を持つ方は片方で防御を片方で攻撃を行い安定した攻め方をする。
対して、1本の木刀を持つ方は器用に木刀を操り、流れるような動作で攻防一体の動きをしていた。
何合か打ち合い一旦距離を取る2人。その内の1人、美由紀は対戦者であるライに言葉をかける。
美由紀「すごいね、ライ君。全然攻めれないや。」
言葉とは裏腹に彼女の表情には喜悦が張り付いていた。ライはその表情に見覚えがある。それは強者と戦える戦士としての喜びの表情であった。
士郎「ふむ、まだ小手調べだがライ君はなかなかの腕だな。」
シグナム「……」
観戦していた2人、士郎とシグナムは端の方でそんなその攻防を見ていた。士郎はライの動きに感心していた。そしてライが褒められたことが嬉しいのか、何故かシグナムは誇らしげな笑顔を浮かべていた。
美由紀「じゃあ、本気で行くよ!」
仕切り直しが終わり、再び美由紀がライに向かって踏み込んでいく。ライは美由紀の一撃を受け流し一撃を入れるために構える。そして予測通りの軌道を描く攻撃を美由紀が繰り出したのを見て、ライはその一撃を受け流そうとする。だがその瞬間、ほんの一瞬ではあるが美由紀の表情が笑みを浮かべたのをライは見た。
ライ「ッ!」
放たれた一撃を受け止めた瞬間、木刀を通じて両手の芯に衝撃が走った。その為、繰り出そうと思っていた攻撃をできずにライは一歩後退する。
そこに追撃してきた美由紀の一撃を再び受けるが先ほどと同じで手に衝撃が走る。
ライ「チィッ!」
受け止めることが悪手と悟ったライはすぐに攻撃を避け始める。
いきなりライの動き方が変わったため、美由紀は一旦距離をとった。しかしそこに焦った表情はなくどこか自分の有利を確信している表情であった。
シグナム「彼女も相変わらず見事ですね。」
士郎「恭弥がいなくなってからも、一応は修行を続けていたからね。」
外野が何か話していたがライには今その言葉を聞いているような余裕はなかった。
ライ(さっきのは寸勁?いや、浸透勁か。だがそれにしても洗練されすぎている。打撃を受
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