長い会議と短い戦闘
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して順調に出世街道を歩んでいるように見えるのだろう。きっと。
ヤン自身これっぽっちもそれをうれしく思っていないのだが。
「後方勤務本部より、今回の作戦における移動、補給等の後方活動において……」
会議終了後、散会するフォーク中佐をヤンは呼びとめる。
呼ばれるとは思っていなかったのか、フォークの顔は以外な面持ちを映していたが、呼んだのがヤンとわかってもとの不機嫌な顔に戻る。
「何の用かな?
ヤン中佐」
「フォーク中佐。
作戦部にお尋ねしたいのですが、フェザーン方面軍の海賊の活動について作戦課では何か話が出ていませんか?」
「知らないな。
所用があるので失礼させてもらう」
取り付くしまもなく、フォーク中佐は会議室を出て行き、ヤンは頭を掻いて苦笑するしかできない。
そんなヤンに声をかけたのは、情報部の大佐だった。
「見事に嫌われましたね。ヤン中佐。
心当たりは?」
「あるにはあるのですが、こればかりはどうにも。
ところで大佐にもお話があるのですが、よろしいですか?」
「話せる事でしたら」
ヤンはフォーク中佐に話し損ねたフェザーン方面軍の海賊の活動について大佐に話す。
大佐は少し考え込んで、ヤンに対して口を開いた。
「ヘルクスハイマー伯の亡命時の護衛は私の姉が出ていたのだけど、あの数の海賊は異常だとは言っていたわね。
こっちが、この航路における過去数年間の海賊の記録ね。
情報部のデータとも照合させてもらうわ。
フェザーンの動きが怪しいか。
漁夫の利を狙うならば、確かに同盟に痛い目にあってもらわないとまずいでしょうね」
情報部はどうもフェザーンに対しての警戒意識を持っているらしい。
それに安心したヤンは後方勤務本部が警戒して自前の輸送船をつけた事を説明して注意を促したのだった。
宇宙暦794年/帝国暦485年に行われたアルレスハイム星域の会戦は、帝国軍約40000に対して同盟軍53000がぶつかる近年まれに見る大会戦となったが、帝国軍の指揮の混乱から10000隻近くを撃破する大勝利となる。
だが、個々の戦闘、特に単艦や隊レベルの戦闘においては同盟軍が劣勢に陥る戦闘も多く5000隻近い損害を出しており、帝国軍の艦長および隊司令クラスが第2次ティアマト会戦から始まった実力主義でのし上がった連中になった事を印象付ける戦いでもあった。
この会戦において参加したリッテンハイム侯は後方から指揮を混乱させ、大敗の責任を取らされて失脚したが、ブラウンシュヴァイク公爵とて万全ではなく宮廷内の暗闘は更に白熱してゆく事になる。
また、ヤンが懸念したフェザーンの嫌がらせだが、民間軍事会社がフェザーンを出港する際に書類不
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