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銀河英雄伝説 アンドロイド達が見た魔術師
長い会議と短い戦闘
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をよそと話をしておいてくれ」

「え?
 私ですか?」

 意外そうな顔をしたヤンにキャゼルヌは人の悪そうな笑みを浮かべた。
 この笑みが浮かんだ時、ヤンが抗弁できないのは士官学校時代から知っていたのである。

「世の中には、言いだしっぺの法則というのがあってだな……」





 統合作戦本部地下の会議室に集まったのは、国防委員会から国防委員数人と統合作戦本部から作戦課と情報課の数人、そして後方勤務本部から出席していたヤン。
 この会議はあくまで事前協議だからこそ、本音の暴露大会と予算獲得の醜い暗闘の場になるのはある種必然といえよう。

「ヘルクスハイマー伯の亡命によって、ブラウンシュヴァイク公爵の娘エリザベートの遺伝病とその遺伝子治療のデータが入手でき、同盟はこれを公表しました。
 その結果、ブラウンシュヴァイク公爵だけでなく、エリザベートとは母親が姉妹であるリッテンハイム侯爵も巻き込んで大規模な政治的スキャンダルに発展しているのを確認しております。
 現在、帝国は『叛徒どもの虚偽情報だ』という公式発表を行いましたが、帝国の皇太子はいるのですが、その座を奪おうと有力者であったブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム侯の醜聞によって水面下で激しい暗闘が勃発している模様です。
 で、この醜聞を糊塗するために帝国は大規模出兵を企む可能性があり、今回の会議はこの帝国の大規模出兵に対する迎撃計画を策定する目的の為に集まっています。
 情報部では、貴族の私兵も参加する形で最大兵力は三個艦隊の45000を想定しております」

 会議冒頭に状況説明をした情報化から出席した緑髪の大佐の発言をきっかけに活発な議論が進められる。
 彼女の発言に食いついたのが、作戦課から出席した期待の俊英アンドリュー・フォーク中佐だった。

「情報局にお聞きしたい。
 近年の帝国の出兵規模は減少しており、その想定艦艇は二個艦隊30000隻になっていたはず。
 それを改める理由をお聞かせ願いたい」

 フォーク中佐の発言に緑髪の大佐が即座にデータをモニターに映す。
 そこに映されていたのは、帝国軍が保有する艦隊母艦の姿だった。

「超ジャガーノート級艦隊母艦フライア型。
 我々のアルテミス型艦隊母艦に対抗する為に作られた全長10000メートルを超える船ですが、現在、帝国軍総旗艦フライアの存在が確認されています。
 これに、ブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム侯が資財を投じて御座船としてそれぞれウルズ、ヴェルザンディを建造しました。
 ノルニル型の区別はしていますが、設計はフライア型の流用で門閥貴族の権勢ここに極まれりですね。
 これが出てくる可能性があります」

 帝国の財政危機は近年聞こえていたが、それは大貴族の衰退
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