長い会議と短い戦闘
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会社だった。
「フェザーン方面が少しきな臭いんですよ。
漁夫の利を狙う彼らからすれば、これ以上の帝国の消耗は避けたい所。
帝国の出兵が不回避ならば、こちらを負けさせるしか手は無いんですよ。
で、私が自治領主ならば、この物資輸送を邪魔して十二分に戦わせないようにしますね」
「なるほど。
それで、お前の案には艦隊随伴で輸送船をつけていた訳か」
ヤンの案には艦隊に輸送船を随伴させており、最悪物資が届かない時の為に最寄の基地から供給できる体制を用意していた。
一方、フェザーンの民間軍事会社が物資輸送を保障する形で受注していた事も合ってキャゼルヌはこれを削れと言ってきたのである。
ヤンの説明に理解を示しながら、キャゼルヌはヤンに質問する。
「それを何か説明できるものはあるか?
あるならば、俺も上に説明ができるんだが」
キャゼルヌの言葉にヤンはヘルクスハイマー伯の亡命時における海賊の交戦記録を提示する。
「艦隊母艦の護衛が間に合ったから良かったものの、この海賊の規模と交戦数は異常ですよ。
おそらく、情報をフェザーンが漏らしていたか、帝国艦船を海賊として黙認していたか。
ちなみに、こちらがこの航路における過去数年間の海賊の記録です」
過去数年の記録では年間数回かつ単艦での海賊行為が主体だったのに、ヘルクスハイマー伯の亡命時の海賊は巡航戦艦を含む百隻近くの船が集まっていた。
艦隊母艦とそこから出撃した護衛巡航艦、護衛駆逐艦がなければヘルクスハイマー伯は星海の藻屑になっていた可能性が高く、外務委員会でも問題視されて在フェザーン高等弁務官がフェザーン政府に正式に抗議していた。
「ここからは馬鹿げた話になりますが、今の自治領主であるルビンスキー氏が提唱していた『フェザーン一星に帰れ』というやつを本気で考えた場合、我々が売り払った旧同盟辺境が問題になってきます。
帝国がここを領有できる訳も無く、同盟にしか帰属できませんからね。
そうなると国力比のバランスが同盟に著しく傾いてしまう。
だからこそ、フェザーンはしばらく同盟の足を引っ張るのではないかと」
なお、ルビンスキー自治領主は自治領主就任後からフェザーン回帰については一言も触れていない。
それを領主就任前までの政治的プロパガンダとして帝国・同盟両政府とも認識していたが、ヤンはなんとなくその点が引っかかったのだ。
彼の任務に絡んだアレクセイ・ワレンコフ氏の存在もあったのかも知れないが。
キャゼルヌはヤンの言葉を無視しなかった。
「艦隊随伴の輸送船についてはお前の案で行こう。
だが、お前の話が本当ならば、作戦レベルでもフェザーンが何かしてくる可能性が高いという訳だろう。
次の作戦会議の時にその点
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