ファントム・バレット編
ファストバレット
悪夢の再来
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」
岩陰から対戦相手を覗き見ると、丁度長い円筒の砲身に弾頭を付けている途中だった。俗に言う対戦車砲というやつだが、アレは圧倒的攻撃力を誇る反面、再装填の隙がとんでもなく大きい。
よって現在は隙だらけだが、こちらにも事情がある。
全身をガチガチに対弾アーマーで固め、フィールドの小高い山に陣取って何処に逃げても狙ってくる。対弾アーマーは重量があるため、筋力値を上げていれば装備できるし、対戦車砲等の反動軽減も出来る。
故に、上手く嵌まればかなりの強さを発揮する。例えば拳銃とコンバットナイフしか持っていない俺などに勝ち目は皆無だ。
弾頭の弾切れも考えてあるのだろう、背中にはサイドアームの機関銃が見える。
―カチン……
「…………ッ!!」
顔を引っ込めると、岩から離れて走り出す。STRの割に軽装で武器も拳銃のみ、加えてAGI優先なので機動力は大分こちら側に軍配が上がる。それを利用し、先程から弾頭をかわしまくるという戦法を取っている。
が、それは相手も心得たもの。予測線が的確に俺を追尾してくる。
(―――ならば!!)
仕方がない。出来れば本戦まで隠しておきたかったのだが……。ベテランにはもしかしたら見破られてしまうだろう。だが、負けるわけにもいかなかった。
背後で爆発が起きる。再装填までの約10秒間。それが勝負だ。
俺はウィンドウを開くと、装備武器をストレージから出した『切り札』たる、ある拳銃に変える。
残り5秒。
岩陰から飛び出し、まずはダブルイーグルによる銃撃。
フルオートで発射された7発の弾丸が空気を貫き、狙い違わず作業中の右腕に当たった。頭上のHPバーは1割りも減っていないが、手元が狂って作業が遅れる。
「……ッ!!」
無言の気合いの内に左手が霞み、漆黒の回転式拳銃が現れる。
――ズドン……
銃声は一発。それだけで回転式拳銃は素早くマントの内に仕舞われた。
残ったのは息を長く吐いて残心を取っているレイと、頭部を失って後ろに倒れていく対戦者だけだった。
_______________________________
予選最終戦。これは先程と打って変わって(銃だけに)、中々面白い戦いになっている。対戦相手は《ACOG》と書いてエイコッグらしい。
確か照準機の名前だった気がするが、何故そんな名前にしたのだろうか?
「おーい。まだかー?」
「おっけ。準備出来たぁ!!」
対戦ステージ《還らずの峡谷》の壁は脆い上に地面に何故か爆発する石が転がっている。
それを壁のすき間に上手く設置し、衝撃を加えると―――、
―――ドドドドドドドドド……
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