第二部
神との遭遇
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いるの・・・?」
『フム。人の子にしては見所のある少年ね。』
その声を聞いて、彼女は今自分がどんな状況にいるのかを思い出した。
「ヤバッ・・・!この私としたことが、神を前にして呆けるなんて・・・!」
その瞬間、咄嗟に防御魔術を起動した彼女の意識は、今までに感じたこともない衝撃によって途切れた。
「・・・だ、大丈夫ですか・・・?な、何で・・・何で私を・・・?」
少女は、混乱していた。彼女の上に覆いかぶさっている、草薙護堂と名乗った少年。今日初めて出会った彼は、あの爆発に完璧に対応していた。爆発が起きたことを確認し、少女の手を取って、近くの建物の壁に隠れようとしたのだ。しかし、少女を引っ張ってはとても間に合わないと判断し、咄嗟に彼女に覆いかぶさったのだ。
野球のシニアリーグ日本代表。幼い頃からしてきた訓練は、護堂を裏切らなかった。命の危機に、完璧に対応してみせた彼の反射神経。そして、その行動を支えた運動能力と判断能力。野球に関しては、護堂よりも上位の人間はいくらでもいる。だが、こういう状況に陥って、それでも最善の判断を下せる人間が、一体どれ位いるだろうか?彼は、間違いなく一般人という枠からは外れていた。
『我は見ていたぞ。自分一人ならば、建築物の壁を盾にして身を守ることが出来た。多少の傷を負うことがあっても、命に関わる怪我はしなかったであろう。・・・だが、我が宿敵を連れていては間に合わぬと瞬時に悟り、見殺しにするという考えすらなく、自分の身を犠牲にして守った。だが、本来ならばそんなことをしても無意味。我が熱の前には、ただの人間の肉体など何の意味も持たん。だが、現にこの少年は命を失ってはいないし、我が宿敵には怪我一つ存在しない。・・・これの意味することは・・・。』
何時の間にか近づいていた影。先程までは轟々と燃え盛る炎の塊であった。だが、自分で火力を調整したらしく、今では女性らしき輪郭が見える程度にまで下がっている。
『これか。まさか、神具を所持していようとは。』
リュックだったものの中から、一枚の石版が転がり落ちた。いや、炎を纏ったまつろわぬ神が、神力を使って、取り出したのだ。
『フム。僅かだが、水の力を感じる。・・・これは、山の神の権能か?成程、この石版は、神の力の一部を偸盗する能力を持つようだ。コレが蓄えていた水の力を使って、我が力に対抗したということか。格が違いすぎて殆ど意味は無かったようだが、それでも守ることに成功したのだな・・・。』
その声は、どこか賞賛するかのような響きが混じっていた。人など、路傍の石くらいにしか認識しないまつろわぬ神が、ただの人間を褒めるという、本来有り得ない光景がそこにはあった。
「あ・・・あっ
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