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とあるβテスター、奮闘する
投刃と少女
とあるβテスター、解禁する
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───いや、違う……!

僕がβテストで攻略に参加していたのは、第9層のフロアボス戦が最後だ。
それ以降は……《投刃》と呼ばれるようになってからは、各地を転々と逃げ回っていただけで。だから、βの最終層である第10層には、結局一度も足を踏み入れたことはなくて。
もしキリトが叫んだ理由が、僕や……恐らくディアベルですらも知らない、第10層以降の敵にしかない“何か”だったとしたら。
コボルド王が発動させようとしているのが、曲刀スキルではなく、一部の人間しか知らない“敵専用スキル”なのだとしたら───!!

───ま、ずい……!

刹那。
コボルド王は巨体であることを感じさせない動きで軽々と跳躍し、空中で身体をぎりりと捻り、地を揺るがすような轟音と共に落下した。
血柱のようなライトエフェクトが生まれ、同時に発生した衝撃波が、亜人の王を包囲していた六人へと襲い掛かる。

「ぐあああああっ!?」
その“見たこともない”ソードスキルによって、ディアベル含むC隊メンバー全員が床へと倒れ伏した。
驚くべきはその威力だ。範囲攻撃であるにも関わらず、ほぼMAXだったはずの六人のHPが、一撃で注意域《イエローゾーン》まで減少してしまった。
しかも、技の効果はそれだけに留まらず。
倒れ伏した六人の頭上を、回転するおぼろな黄色い光───一時的行動不能《スタン》状態のエフェクトが取り巻き、誰一人として体勢を立て直すことができない。

「ウグルオオオオッ!!」
あまつさえ、ボスの攻撃の手は止まることがなかった。
彼らが動けるようになるより早く、硬直状態から回復したコボルド王が、下からすくい上げるような斬撃で、正面にいたディアベルを追撃して───

「──ッ!シェイリっ!!」
「!うん!」
予想外の事態により、誰もが動きを止めていた中。
昨日感じた“嫌な予感”が見事的中してしまったことに、舌打ち一つ。
パートナーたる少女の名を叫びながら、ディアベル達の───ボスのいる方向へと向かって駆け出した。
彼女も察してくれたのだろう、一瞬遅れて僕と併走し始める。

そうしている間にも、コボルド王は狼にも似た口で獰猛に笑い、空中に浮いたディアベルに止めを刺すべく、武器に赤いライトエフェクトを纏わせている。
ディアベルのHPゲージは、既にレッドゾーン《危険域》に陥る一歩手前だ。あと一撃でもクリティルヒットを貰えば、瞬く間にゼロになってしまうだろう。
その瞬間。彼のアバターは消滅し、同時にナーヴギアに脳を焼き切られ……ディアベルという人間は、この世界から消滅する。

パーティの指導者を失ってしまえば、その後に待っているのは全滅だけだ。
βテスト出身の僕ですら、あのスキルが何なのかわからなかった。初見の技を使うボスモンスター相手に、残
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