第3話「剣士と弓兵とでは価値観が合わない」
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「……何が言いたいの?」
「わざわざ近くまで来てくれた事だよ」
「吉井君、この状況分かってる?もう貴方には何も出来ない筈だけど」
「そう、君の言う通り僕は動けない。僕はね」
窮地に追い込まれているにもかかわらず、ニヤリと明久は唇を吊り上げる。
――偽・螺旋剣〈カラドボルグ〉
「っ!?――凛!!」
遠方から空気を切り裂く音を放ちながら何かが接近してくるのに気づいたセイバーは、凛の前に踏み出し剣を一閃した。
直後、亜音速を超えるほどの赤い閃光が激突し、それは威力を衰えさせずセイバーを貫かんと剣に向かって進軍した。
防ぎきれないと確信したセイバーは自身の剣に爆発的に魔力を注ぎ込む。
「はぁーーっ!!!」
そして、セイバーを中心に激しい爆発が巻き起こり、側にいた凛は数メートル後ろへと吹き飛んだ。
「ほう、無傷でないとはいえ偽・螺旋剣を防ぎきるとはな……」
剣をついて肩で息をしていたセイバーは、砂埃の向かうから聞こえた声に体勢を立て直した。
そこには赤い騎士が立っていて、明久もその時には遠くに離れていた。アーチャーは干将莫耶を投影すると、地を蹴りセイバーの元へ踏み込むとそれを振り下ろした。セイバーはその剣撃を難なく防いだ。――と思われた。
「成る程、先ほどの一撃は貴様に相応の傷を負わせられたようだ」
やはり偽・螺旋剣の一撃は、セイバーに明確な傷を負わせていたのだ。だがセイバーはそれよりも別の件で憤りを感じていた。
「戯れ言は止めろ。先ほどの一撃、私ではなくマスターを狙っていたな!それも己のマスターをも巻き込む形で……!」
「結果的に効果はあったろう?そもそも貴様をおいてあの女を簡単に殺せるとは思っていない」
「だからといって自分のマスターまで巻き込むかっ!!」
「卑劣だとでも?やはり剣使いと弓兵とではどうも考えが合わないようだな。大体これは私ではなくマスターの考えだ」
「なっ!?」
そう言いながらもアーチャーはその時の事を思い出していた。
――――
千年城にて、アルトルージュ一行が見守る中、明久とアーチャーは机に冬木市の地図を囲むようにして、作戦を立てていた。
「ねぇ、アーチャーの狙撃ってどのくらいまでなら届くの?」
「認識阻害の結界でも貼られん限り、目が行き届く範囲なら何処にでも射てられるさ」
「それは的が動いていたとしても?」
「問題無い――と言いたい所だが、サーヴァント程の速度を持つとなると……不意でも打たない限り厳しいな」
矢とは直線上に進むものであり、いくら威力と速度が桁違いであったとしても、避けるだけならばサーヴァントにとって難しいことではない。
明久は顎に手を当て、しばらく考えると
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