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漆黒の姫君と少年は行く
第2話「マスターの特質はサーヴァントに影響する」
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はないため、キャスタークラスでもないサーヴァントが固有結界を使うことの異常性が分からない。

「見ての通り、ここは剣の世界。この剣群は私がかつて対峙し、記録した複製(贋作)だ。全てが偽物だよ。 先ほどの干将莫耶も、ここから取り出したものに過ぎない。すべて偽物だ が、相応に使い出もある。例えば」

アーチャーはすぐ側に刺さっている光輝く剣を引き抜く。

「それは……!」

その剣が何かは僕でもすぐに理解できた。
かつてブリテンの王が担っていたとされる宝剣。

「そうだ。これこそがブリテンの王アル…アーサーが身にしていた名剣エクスカリバー。威力が劣るとはいえ、これら数々の真名開放も可能だ」
「もう、出鱈目な能力だね……」
「む、出鱈目とは失礼だな。驚くのはまだ早いぞ」

今度は隣の剣を引き抜いた。先程とは違い、凡庸な剣。 無造作に放り投げる。

「――broken fantasm」

剣が爆ぜた。爆風に両腕で身を守る。剣は強烈な魔力を放出し爆発し、消えた。

「このように使い捨てる事によって、爆撃にもなりえる。そしてほら、この通り」

瞬きするとアーチャーの足元には、消えたはずの剣が突き刺さっていた。つまり使い捨ても複製出来るから問題ないと言いたいのだろう。
明久は思わず頭を抱える。
無理もない。
宝具という物は英霊にとって生前共に在り続けた半身でもあり、破壊してしまえば修復は困難である。 ゆえに本来この技はただ一度限りの技 であり、その使用は「戦いの終了」を意味しなければならない……。そう、ならない筈なのだが、アーチャーはその常識を事も無げに覆したのだ。

「ああ、そこらの剣にはあまり触れない方が良い。魔剣の類いのものもあるからな。姫君や守護騎士は兎も角、マスターのような人間には、少々厄介な代物だ」
「色々と規格外なのは解ったけどアーチャー、魔力は大丈夫なの?固有結界を具現化させると、当然世界からの修正力を受ける。それを維持するには膨大な魔力が必要なはず」
「ふむ、確かにマスターの言う通りだが、私には世界の修正力に考慮する必要がない。 何せ私は、――抑止の守護者だからな」
「「「なっ!?」」」
「そう言う君こそ大丈夫なのかね?固有結界程の魔術を使うには、それこそ膨大な魔力を必要とするのだが。――一般の魔術師には耐えられない程のな」
「魔力量に関しては問題ないよ。僕はアルトとパスを繋いでるからね」

君も色々と規格外だな……、そう苦笑しながらアーチャーは固有結界を解除した。
死徒27祖の殆んどが平然と固有結界を扱えるからだ。人間とは桁違いの魔力量を持っている。

「それはそうとマスターは不幸体質なのか……?」
「……何で分かるの?」
「只でさえEランクである私の幸運値が、君と契約して
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