第5章 契約
第59話 実験農場にて
[9/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
のミニスカート姿。
但し、貴族の証で有る闇色のマントと腰に差した七星の宝刀が彼女の出自を物語っていた。
「俺は木行に属する存在。故に、植物とは非常に相性が良い存在やからな」
そう、蒼き戦姫シモーヌ・アリア・ロレーヌに対して答える俺。そして、傍らのタバサを視界に納めてから、
「そして、タバサはそんな俺と契約を交わした水行に属する人間。俺に取っては、水生木。この関係は非常に相性が良い相手」
……と、そう続けた。それに、タバサ自身も、森の乙女。つまり、ドリアードと契約を交わした人間です。彼女の能力を使用すれば、植物の生育を良くする事はさほど難しい事では有りません。
そして先ほどの仙術には、この場に存在している最後の登場人物。俺を挟んでタバサの反対側。俺の左側に、敷物を広げ、その上にちょこんと座った姿勢で和漢に因り綴られた書物を紐解く少女。湖の乙女の影響も強く有りますから、更に、効果が大きな物と成っているのも事実です。
そう。音楽に因り植物の生育が進むのは、原因は定かでは有りませんがある程度の検証が為されているはずです。そして、其処に、共鳴を利用して、更に術の効果を向上出来たのは、湖の乙女の能力に因るモノでしたから。
それは、植物の中に存在している水分に術で働き掛ける事に因って植物を活性化させ、周囲の精霊たちの作用と相まって、通常三カ月は掛かるジャガイモの生育を、たった一カ月足らずで収穫間近にまで持って行く事が可能だったのですから。
但し、その所為で、俺とタバサ。そして、湖の乙女に、マジャール侯爵の娘アリアが、この地。内陸に存在するマジャール侯の領地最大の湖。マジャールの海と称されるバラトン湖々畔に有る、アールマティと言う地のガリアの広大な実験農場にずっと缶詰状態とされて仕舞ったのですが。
まして、その成果が、今年の冬を無事に乗り切る為の準備と有っては、遊び半分と言う訳にも行きませんでしたから、何故か、非常に疲れる御仕事で有った事は間違い有りませんでした。
本当に、目の前に広がる取り入れ間近と成ったジャガイモ畑と、夏の終わりの午後に吹き来たる風を全身に感じながら、一仕事終えた感慨に浸る俺。
そう。今年は緊急的な食糧不足に対応する為の作業ですから、特殊な能力者のみで行った作業ですが、来年からは、一般人が中心と成ってジャガイモを作り、もっと痩せた土地では、トウモロコシなども栽培して、麦の不作に備える事が出来るように成ります。
そもそも、ジャガイモは、年に数回栽培が可能な上に、土中に出来るのですから、鳥獣の被害も少なくて済みます。おそらく、小麦の数倍の人口を養う事が可能と成るとは思いますね。
まして、そのジャガイモにも勝る高い収穫率を誇るトウモロコシも、既にハルファスから調達
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ