第5章 契約
第59話 実験農場にて
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言う事に筋は通っていますが、そんな事が……。
其処まで考えて、一人。いや、非常に使い勝手の良い一組の手駒がここに存在する事に気付く俺。
それに、その二人ならば、相手の屋敷に気付かれずに侵入して、あっと言う間に、湖の乙女の仲間を連れ出して来る仕事など簡単に為すでしょう。
「イザベラ姫。その湖の乙女奪還作戦に、私達が従事させられるのでしょうか?」
まして、俺としても、その密猟者どもから彼女の仲間を救い出すのは賛成ですから。
確かに湖の乙女との契約を交わした直後に、タバサと擬似的な血の契約を交わした直後のように、いきなり血涙を流し始めた左目にくちづけをされた時には驚きましたけど、ラグドリアン湖の精霊の身体を構成する物質が、水の秘薬と言うあらゆる病や怪我を癒す魔法のアイテムだと言う事が知らされてから納得出来ましたから。
おそらくは、その水の秘薬を、患部に口から送り込んでくれたのでしょうからね。
しかし、
「いや。そちらは誰にでも出来る仕事だから、あんたとエレーネには別の仕事を頼みたい」
少し首を横に振った後、そう答えるイザベラ。
何故か、その瞬間に、非常に嫌な予感がしたのですが……。
そう。これで、魔法学院の夏休みが終わって仕舞ったような、そんな予感が……。
「そもそも、現在、市場では水の秘薬が品薄で、非常に高値で取引されている」
いやな予感に包まれつつ有った俺を他所に、イザベラがそう説明を始めた。
どうもこの姫さんは、俺の雰囲気を読む事もなく、勝手に話を進めて行く人のようです。俗に言う、空気の読めない人だとは思いますが……。
ただ、タバサが姫なら、イザベラもガリア王家の血を引く姫。普通に考えると、そう、空気を読まなければいけない生まれと言う訳でも有りませんか。
特に、俺のような人間を相手にする場合には。
「それで、その儲けが見込める商品の水の秘薬をトリステインから、ガリアの専売品にする事で国庫を潤そうと言う事ですか」
そのイザベラの言葉を受けて、俺がそう答えた。
確かに、少しうんざりするような理由ですし、出来る事ならば、湖の乙女の身体を構成する物質を、魔法のアイテム扱いにして欲しくはないのですが……。
そう言う思考に囚われかけた俺ですが、直ぐに別の方向から考え直し、そして先ほどの思考を否定した。
何故ならばこれは、牛や豚。鶏に対しては出来るのに、ラグドリアン湖の精霊に対しては行ってはいけないと言う、ダブル・スタンダードな対処に成りますからね。
確かに、彼女。湖の乙女は俺に取って友で有り、人間と同じ扱いをする対象で有るのですが、普通に考えると、精霊とは人間以外の存在で有るのは間違い有りませんから。
すべてに俺の倫理
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