第5章 契約
第59話 実験農場にて
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言えば、ジャガイモ。トウモロコシか。
「次の冬は何とかなるだろうさ。ウチは農業が主だからね」
国庫を開いて、困窮者に対して食糧の配給を行うと言う事をあっさり受け入れたイザベラ。
そうして、
「それに、国際情勢が不安定だったから、市場に出す穀物の量を徐々に減らして、備蓄に回して有ったからね」
胸の前に腕を組み、形の良い眉根を顰めてそう続けたのでした。
成るほど。その程度の余裕がガリアには有ると言う訳ですか。少なくとも、宵越しの金は持たない主義の何処かの国の官僚共よりは優秀見たいですね、ガリアの為政者の方が。
まぁ、彼らに出来るのはイス取りゲームとお互いの足の引っ張り合い。それと、自らの省庁の権益の維持ぐらいですから。いや、ワインセラーの管理も得意技でしたか。
少なくとも、国家百年の計を任せられる人材が集まっているとは……。
おっと、そんな事は、今はあまり関係なかったか。
「但し、雨を降らさない代わりに、あんたと、シャルロットには働いて貰うよ」
俺が現実に存在するのかどうかも怪しい、架空の国の為政者たちに対して思考を飛ばしていた事に気付いたのか、イザベラがそう言って、無理矢理俺を現実界へと引き戻した。
尚、タバサの方はあっさり首肯して、イザベラの言葉を受け入れて仕舞いましたが。
どうでも良いのですが、俺の御主人様はあまりにも簡単に仕事を受け過ぎるような気がするのですが。
確かに封建時代の主従関係ですから、命令された仕事を受けないと言う選択肢はないに等しいのですが、それでも、その命令の内容を聞いてから判断する程度の事は行っても良いと思いますよ、共に仕事に従事させられる俺としては。
毎回、ガリアの騎士としての御仕事は、危険が伴う御仕事ばかりですから、少しぐらいは御仕事を選んだとしても、罰は当たらないと思うのですがね。
そんな、タバサの使い魔に過ぎない俺の不満など意に介する事もなく、ひとつの問題を片付けたイザベラが次の問題を口にする。
その内容は……。
「ラグドリアン湖の精霊。あんたに頼みたい事が有る」
そう、湖の乙女に対して問い掛けるイザベラ。
しかし、そんなイザベラに対して、そちらの方に視線を向ける事すら行わず、古い革の表紙の書物に視線を送り続ける湖の乙女。
もっとも、これは当然と言えば、当然の対応。
何故ならば、彼女は俺と契約を交わした以上、俺の問い掛けに対しては答えますが、他の人間からの問い掛けに対しては、答える事はなくて当然ですから。神霊とその神霊の声を聴く事が出来る人間との関係は、大体、そんな感じと成ります。
故に、巫女や禰宜。神官は古代に於いて重要な役職に就いて居たので
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