第5章 契約
第59話 実験農場にて
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、ガリアが取り組む事と成るノーフォーク農法が開始される事となるのです。
もっとも、これは魔法を駆使出来ない一般人用の話。連作が難しい最大の理由は、単一の作物ばかりを植えていたら、土壌が単一の生態系と成って仕舞い、その植物に対して有害な微生物が集まって来て、それでも尚、その場所に同じ植物ばかりを植え続けたら、生育不全や、最悪、全てが枯れる、と言う事に成るのです。
ならば、単一の生態系にしなければ良い。ただ、それだけの事。大地の精霊と共に、土を毎回作り変えれば、原理上は休耕地を作る必要が無くなり、事実上、連作も可能。まして、植物の根や葉から出される、自身に対する有害物質が連作障害と成り得る場合も有るのですが、それも、この方法ならば一発で解決します。
ただ、この方法は、本来、タバサが隠遁生活を送るように成ってから試す心算だった農業なのですが……。
既に、自らの足元に広げられた敷物に腰を下ろし、持参して居た書物に目を通して居る蒼い少女に対して意識を向けながら、そう少し、後悔にも似た感情を抱いたのですが……。
それでも、これも仕方がないですか。ジャガイモやトウモロコシの栽培方法や料理の仕方を広めて行けば、この世界自体には良い影響をもたらせるのは間違い有りませんから。まして、トマトは地球世界のヨーロッパの郷土料理には欠かせない物ですからね。
そんな中で、俺の将来の生活など小さい問題でしょう。
少しの空白。其処にも、物悲しい雰囲気の夏の終わりの風が忍び込む。
刹那、それまでその場に広げられた敷物の上に腰を下ろして和漢に因って綴られた書物を紐解いていた蒼と紫の少女が、ほぼ同時に膝の上で静かにその本を閉じた。
そして、双子の如き同期した様子で、俺を真っ直ぐに見つめた。
片や、晴れ渡った冬の氷空の如き蒼き瞳。
片や、澄み切った深き湖の如き瞳に俺を映し。
その二人を見た蒼銀の戦姫が、彼女に相応しい春の微笑みを見せる。それに、未だ祭りは終わった訳では有りませんから。
「そうしたら、今日の仕事はここまでにして、家に帰るか」
俺の問い掛けに首肯く一同。
そう。最後の取り入れを終えた時。それが、今回の御仕事の完了する時ですから。
☆★☆★☆
それでは、少し時代が動いたので、その説明を。
先ず、戦時下に突入したトリステインでは、魔法学院の生徒たちを、飽くまでも志願制の形では有りますが士官として登用する事を決定したと、魔法学院の夏休みが終わるのと同時に発表しました。
もっとも、流石に訓練を行う必要が有るので、志願した新米の士官たちが即座に前線に送り込まれると言う訳では無さそうですが。
ただ……。本格的な戦争開始前の段階で、既に下士官の人数
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