第58話
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処は麻生さんに解いてもらいましょう。」
誰かがそんな事を言い出した。
数学の先生はその事を聞いて困ったような表情を浮かべる。
彼ら教職員は麻生が居た高校の成績を知っている。
そのデータが正しいのなら麻生にこの問題は解けない。
それこそ逆立ちしてもだ。
その生徒も分かっているのかニヤニヤと笑みを浮かべている。
麻生の無能力者だと知っているのでおそらく解けないだろうと思っているのだ。
美琴は昨日心配していた問題が起こっている事に気づく。
何とかして助けられないかと考えた時だった。
ガタッ、と席を立つ音が隣から聞こえた。
視線を向けると麻生が席を立ち、黒板に向かって歩いていた。
数学の先生は麻生の行動に戸惑い、言い出した生徒はさらに笑みを浮かべる。
「あらあら、無能力者のあなたの頭でこの問題が解けるのかしら?
無理せず分かりません、と言ってもいいのよ。」
その生徒の言葉に何人かがクスクスと笑い声を上げる。
美琴はその生徒達の差別的な態度にムカッ、ときた。
だが、その笑みは次の瞬間に消え去る事になる。
「つまり、この公式をこの数式、αからβに入れる事で答えを導き出す事が出来ます。」
麻生はチョークで黒板に答えを書きながら説明をする。
それを聞いた先生を含めた教室全員が唖然としている。
それもその筈、麻生は先生が出した答えを完璧に答えたからだ。
「これでいいですか?」
麻生がそう言うと数学の先生はハッ、と正気に戻る。
「え・・ええ、ありがとうございます。」
先生がそう答えると、麻生は席に戻る。
その後は少しぎこちない感じで授業が進んだ。
問題を簡単に解いた事が気に喰わないのか、何人かの生徒は授業が終わるまで麻生を睨んでいた。
もちろん、麻生もその視線に気がついていたが無視している。
数学の授業が終わると、美琴はすぐに麻生に聞いた。
「あんた、あんなに頭良かったの?」
「たまたま知っている問題だっただけだ。」
そう麻生は答えたが美琴は信じられなかった。
都合良くあの問題を知っている何て偶然はない美琴は思う。
美琴はさらに質問しようとしたが、次の授業の先生がやってきて質問するタイミングが無くしてしまう。
本当に何者なんだと、美琴は改めて思った。
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