フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第五十二話 父親と母親
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言ってることはある程度辻褄が合ってるが、それを証明できる証拠が何もない。それに、事件でない限り俺らが動くことはできないんだ」
「ふーん・・・なら、事件が起こればいいんだな?」
その桜火の言葉の返答に困ったのは龍一で、桜火の隣に座っている陽炎は忍び笑いをしていた。
「お前、自分が何言ってるのかわかってるのか?」
「勘違いしなさんな。別に何かしようってわけじゃねぇよ」
「それならいいんだが・・・知り合いを逮捕しなきゃならない身にもなってくれよ」
それだけ言うと龍一はソファーから腰を上げ、陽炎と桜火に別れの挨拶を告げ帰っていく。残された親子二人はしばらく沈黙を保っていたが、陽炎がそれを破った。
「それで、私に用ってそれだけ?」
「いや、まだある。お袋って裏業界に詳しいよな?」
「ええ。一時期はそっちで生計を立ててたからね」
「ちょっとばかり聞きたいことがあるんだ・・・」
◆
『なるほどねー。まぁ、好きにしなさいな。今までがそうだったように、これからも好きにすればいいわ。ここに帰ってくるのもよし。自分の好きなように生きるのもよし。貴方の為なら出来うる限りのことはしてあげるから、いつでも頼ってきなさい。ただし、自分のとった行動に責任を持たなくては駄目よ』
桜火の話しを聞いた陽炎はそう言っただけで止めるようなことはしなかった。その言葉に頷きながら、実行するときに改めて連絡する、といっておいた。いつの間にか昼時になっていたので、久しぶりに母親の手料理を食べながら、色々と談笑。気が付いたら空は赤みが差してきていた。それを見た桜火は東京にある月影家を後にし、品川へ戻る。住まいのマンションの近くにあるスーパーで夕食の買い物をして帰ると、焔はすでに帰ってきていた。
「おかえり。買い出ししてきたんだ」
「ただいま。ああ、何もないだろうと踏んでね」
「察しがいいことで」
どうやら夕食の買い出しに出かけるみたいだったらしい。桜火から荷物の一部を預かって焔は台所に運ぶ。そこで、桜火の口から意外な言葉が出た。
「あとでちょっと頼みごとがしたんだがいいか?」
「うん?まぁ、私にできることならいいけど?」
「ああ、それなら大丈夫だ。―――――――――――――――――――――」
その言葉を聞いた焔は待っていたかのような笑みを浮かべた。
◆
そうして、時は流れていく。
ある者たちは来たるべき時のために己を磨き上げ。
ある者たちは胸に思い人を浮かべながらリハビリに励み。
ある者たちは人の目につかぬ場所で動き始める。
―――そして、二〇二五年一月一二日(日)の深夜。とあるALOスレッド内。
457: 以下、名無しにかわりましてVIPがお
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