第二十三話 犬と猫その九
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「だからかしら」
「そういえばそれまでは」
「言うなら日本文化が形成されていく前段階でね」
「平安時代から独自性が出て来るから」
「それに古くて資料が残っていない可能性もあるし」
「神話とかだとよね」
愛実も考える顔になっている。
「八岐大蛇とかよね」
「また別の感じの妖怪っていうか」
「猫又さん達とは全然違うわね」
「でしょ?だからね」
それでだというのだ。
「かなり違うと思うわ」
「そうなのね」
「そう、違うから」
聖花はこう愛実に話す。
「そこはね」
「奈良時代とかの幽霊が少ないのもそうなのね」
「古典でも平安時代の古典だと」
そうしたものの話にもなる。
「幽霊とかのお話が多くなるじゃない」
「?そうなの?」
「源氏物語とか今昔物語とか」
「源氏物語にも幽霊出るの」
「出るわよ」
即答だった。
「しっかりとね」
「そうだったのね」
「そうよ、源氏の君の奥さんの生霊が出るお話があるから」
「へえ、そうなの」
「今昔物語は全体的に幽霊のお話が多いし」
「あれって怪談ものだったの?」
「そういう感じとかファンタジーものとしても読めるかしら」
現代的な視点から見てのことだ、古典も今ではそうした視点から読むことも可能になっている。これは西洋の古典も同じだ。
「現代語訳とか中々面白いし源氏物語はね」
「光源氏の女遊びのお話?」
「実際そうだけれどね」
このことは聖花も否定しない。
「凄いからね、本当に」
「とっかえひっかえって感じでね」
「父帝の奥さんとか子供にも手を出すし」
「節操ないわよね」
「あれ今の二次の世界だと」
実際に源氏物語にしても小説になる。それ程難しく考えずに読むとこれがかなりの好色小説になってしまうのだ。
「それこそそうしたゲームよね」
「一体何百人に手を出してるかって」
「それで子供がたった三人って」
「それこそ百人いてもおかしくないわよね」
「何処の聖闘士のお父さんかって位だからね」
光源氏はとかく女好きだ、冷静に見ると普通の人間ではない。
そうした話もしながら聖花は愛実に話すのだ。
「それでその源氏物語にもね」
「幽霊出るのね」
「他にも幽霊とか妖怪って古典によく出るから」
「そうだったのね」
「平安以降からね、そうなのよ」
日本で幽霊や妖怪の話が出るのはその頃からだというのだ。
「それで古墳の幽霊はね」
「滅多にないのね」
「そうそうね。だから珍しいけれど」
「そう言われると見てみたいわね」
愛実はここで好奇心を動かした。
「是非ね」
「そう思うわよね、愛実ちゃんも」
「聖花ちゃんもなのね」
「実際にね」
聖花もその目に好奇心を宿らせている。
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