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清教徒
第一幕その四
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してエルヴィーラを連れて部屋に戻ってきた。
「おお」
 アルトゥーロは彼女を見て思わず感嘆の息を漏らした。
「何と麗しいお姿か」
「お気に入れられましたかな」
 ヴァントンはアルトゥーロに声をかけてきた。
「それならば何よりですが」
「勿論です」
 彼は恍惚とした声で答えた。
「この日を神に心から感謝致します」
「それは何よりです。さて」
 彼はここで一枚の書類を取り出した。
「これを貴方にお渡ししましょう」
「これは」
 彼はそれを手に受け取ってヴァルトンに対して問うた。
「これは通行証です。これで貴方は寺院に自由に出入りすることができます」
「ならば私と彼女のことを認めて下さるのですね」
「はい」
 笑顔で頷いた。これは婚礼の儀のうちの一つであった。
「勿論です。貴方は我が弟が認めた程のお方」
 ここでジョルジョに顔を向けた。彼はこの弟を心から信頼しているのである。
「是非とも我が息子となって頂きたい」
「かたじけない」
 彼はそれを受けて頷いた。
「それでは謹んでその通行証をお受け致します」
「有り難うございます」
 彼は通行証を手渡してアルトゥーロに対して言った。
「それでは娘をお願いしますぞ」
「はい」
「さて、それでは」
 婚礼の本格的な儀に入ろうとする。だがここで一人の将校が部屋に入って来た。
「伯爵」
「どうしたのだ」
 ヴァルトンはそれを受けてその将校に顔を向けた。
「あの女性が来られました」
「そうか。思ったより早かったな」
 彼はそれを聞いてそう呟いた。そしてアルトゥーロに顔を戻した」
「アルトゥーロ殿」
「はい」
「申し訳ありませんが暫く席を外させて頂きます」
「わかりました」
 ヴァルトンはそう言って席を外した。ここで彼は中庭に向かった。
「アルトゥーロ殿」
 それにかわってジョルジョが彼に声をかけてきた。
「暫しのご辛抱です。お待ち下さいませ」
「わかりました」
 彼はそれを受けて頷いた。そしてちらりと窓に目を向けた。中庭が映った。するとそこには一人の貴婦人がいた。
「あれは」
 彼はその貴婦人を見て思わず目を疑った。
「如何されました!?」
「いえ」
 ジョルジョに声をかけられ慌てて表情を元に戻した。
「何でもありません」
「そうですか」
 だが彼にはアルトゥーロの動揺がわかった。しかしそれはあえて言わなかった。

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