TURN62 太平洋経済圏その七
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「かなり薄れていると自分でも思いますが」
「そうか。信じてはいるんだな」
「どうでしょうか」
「俺は共有主義は嫌いだ」
ダグラスはリンファに対してあえて言ってみせた。
「しかし君が信じることは否定しない」
「そうですか」
「それは君の問題だ」
ダグラスはリンファの顔を見据えて言う。
「どうするかを決めることはな」
「私が」
「その通りだ。だが君は残虐な人間じゃない」
このことは確かだ。少なくともリンファにはそうしたものはない。
「だから安心しているがな」
「そうですか」
「それにしても中帝国も変わるな」
「そうですね。それは確かに」
「議会もできるか」
「そのことも決まりました」
「面白いかもな、ガメリカも変わるからな」
ダグラスが大統領になった、それ故にだった。
「だからな」
「ガメリカは一体どうなるのですか?」
「これまで以上に公平で強い国になる」
ダグラスはこう断言した。
「そうなる」
「自信あるのね」
「なければ言いはしないさ」
ダグラスは笑ってランファに返す。
「まあ見ていてもらえるか。これからのガメリカをな」
「期待させてもらうわね」
親米派のランファは右目をウィンクさせて言った。
「是非共ね」
「そうしてくれ」
こうした話をしているとだった。やがて彼等の前に帝が姿を現した。
その帝を見てまずはダグラスが驚きの声をあげた。
「これはまた凄いな」
「凄いといいますと」
「こんなキュートな美少女が帝だったのか」
「口を謹んで下さい」
ハルがすぐにダグラスを注意する。彼女は帝の後ろに控えているのだ。
「帝は我が国の国家元首ですから」
「失礼、ただ本当に驚いてな」
「我が国の帝は代々女性です」
それも少女である。
「ですからこのことは驚くには値しません」
「そうか、わかった」
「では帝」
「はい」
帝はハルの言葉に頷く。そして言うのだった。
「では今より講和会議、そして太平洋経済圏の設立宣言を行いましょう」
「それでなのですが」
「いいでしょうか」
リンファとランファも応える。ランファも流石に帝に対しては丁寧な口調である。
「私達への講和の条件ですが」
「本当にあれでいいんですよね」
「その通りです」
「賠償金はなし」
「領土も捕虜も無条件で返還してくれる」
「そのうえで有効条約を締結し」
「太平洋経済圏への参加ですね」
「はい、そうです」
帝は優しげな微笑みと共に二人に話す。
「ガメリカに対しても同じです」
「寛大に過ぎませんか?」
中帝国と全く同じ条件を示されているダグラスも帝に問う。
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