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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第二章
九話 異世界へお出かけ!
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確かに、ヴィヴィオの記憶のかなたには、うっすらと今目の前に居る青年を幾分か幼くしたような、金色短髪の少年の顔を記憶している。
記憶の中のその顔は困ったように笑っていて、自分の視界は誰かの後ろに隠れたようになっていた。ただ……その記憶の中で、どうしても思い出せない事があった。
その視界はそのうち、ふと、誰かに呼ばれたように上向く。そうしてその視界には、“誰か”の顔が映るのだ。それは母、なのはである割には少し自分の視線に近い場所にある顔。きっと、自分の知る、あの頃の自分が心から信じ、頼っていた“誰か”の顔……しかし……
『どうして……』
それがどんな顔をしていたのか、どんな眼差しで自分を見つめ、どんな表情で自分を見ていたのか。その一切を、ヴィヴィオはどうしても思い出す事が出来なかった。
それが“誰の”顔なのかは、よく分かっているにも関わらず、だ……
「……お兄ちゃん」
一体あの時、兄はどんな顔をしていたのだろう。四年前、あの事件が起こる前まで、自分と兄は、一体どれだけ通じ会えていたのだろう……今となってはもう記憶の彼方に埋もれ、忘れてしまったそれをヴィヴィオがどれだけ思い出そうとしても、その記憶が浮上することは、ついぞ無かった。
────
「そう言えばママ」
少しして、思考の海からようやく浮上したヴィヴィオは、後ろ頭を掻いて成績表を見せているライノに苦笑しながら何かを言っているなのはに、後ろから尋ねた。
「?どうしたの?ヴィヴィオ」
「えっと、さっきお客様がどうって……」
「あ、そうだった!」
と、なのはが言った直後、玄関でピンポーン。というチャイムの音が鳴った。
[It seems to have come.(いらっしゃったようです)]
レイジングハートの言葉に、ヴィヴィオはてけてけと玄関に向かう。鍵を開け、扉が開くと、其処には意外な人物が立っていた。
珍しく私服姿で肩に小ぶりな旅行鞄を掛けた、アインハルトと、同じく私服(と言ってもヴィヴィオ達の前では殆ど私服だが)に、肩に円柱状のカバンを掛けたノーヴェだ。
「おっす」
「こんにちは」
「アインハルトさん!!?……と、ノーヴェ!」
駆け寄ったヴィヴィオと結構な至近距離で向き合いながら、アインハルトは何処か緊張したような面持ちで言った。
「異世界での訓練合宿との事で、ノーヴェさんからお誘いいただきました……」
そこまで言って何故か、アインハルトは顔を若干赤らめる。
「同行させていただいても、宜しいでしょうか」
そこで朱くなると他人に色々勘違いされそうなもんなのだが、まぁそんな事は此方側の話である。対して、ヴィヴィオの返事はそれはもう速かった。
肉眼では見えないようなスピードでアインハルトの手を掴むと、それをブンブンと振る
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