Episode1 助太刀
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下にかけて、斜めに振り抜かれた。
片手剣スキル《スラント》
実付きは通常のものよりも防御力が高いのか、少しズッシリと手応えがあったが、先ほど同様スキルをくらったネペントが砕け散った。
撒き散らされる半透明のポリゴンの向こうに無精髭を生やした男の驚いたような顔があった。男の口が何か言いかけるように開いたが、すぐ次のネペントが襲い掛かってきて話しているような場合でもなかった。
ただ一言、
「手を貸す!」
そうだけ俺の方から言い、そのあと数十分間はその場にそれぞれの気合いの声だけが聞こえていた。
「いやぁ、マジサンキューな!オメェさんのおかげでなんとか助かったぜ」
幾度目とも知れない感謝の言葉に返事をする。
「気にしないで。それに半分くらいはあなたがやってたから」
それでもまだ男は感謝が足りないらしく、俺の手を取ってブンブン振り回していた。
「いや、マジでよかった。仲間全員無事だったしよぉ!」
そう言う彼の数人の仲間は、それぞれが思い思いに地面に体を投げ出して戦闘の後から放心していた。
結構な数のネペントがいたから当然か。
その中の目の合った一人が申し訳なさそうな笑顔を浮かべた。つまり、このリーダー格の男は悪気があって俺の手をブンブンしているわけではないということ。元々こういう性格なのだろう。
ようやく、俺の手を離した男が照れ臭そうにバンダナを巻いた頭を掻いた。
「おっと、すまねぇ。助けてもらったのに自己紹介もまだだったな」
そういうと男は再び手を差し出した。
「俺はクラインってんだ。オメェさんは?」
「あぁ、み……じゃなくてカイト。助けられてよかったよ」
あまりゲーム慣れしていないせいで思わず本名を口走りそうになったが、なんとか堪えて俺は曲刀使い改めクラインと握手を交わした。
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