第十話 決起
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口ではなく、防御を捨てて特攻を仕掛けているプレイヤーたちの元だ。
鍛えたステータスを活かして、最早無用となりつつあるタンクプレイヤーたちの頭上を飛び越えていく。そのとき、上を見上げたシュミットと視線が交錯した。
シュミットたちを追い抜いて、竜人の攻撃範囲内に入る。それと同時に、右手でメニューウインドウを呼び出し、その下部にあるアイコンを選択する。
俺の手の中に現れたのは、カタナというには長すぎる刃だった。
固有名『物干し竿』。リーチに重きを持ち、そのあまりの使い勝手の悪さから使う者が現れなかったカタナだ。
だが、俺が使えばボスの一撃を防ぐ手段になり得る。
竜人の目の前に躍り出たとき、相手は両手剣を上に掲げ、振り下ろす構えを取っていた。
竜人が両手剣を振り下ろすと同時に、俺も長刀を振るう。
長刀と両手剣が擦れあうように振り下ろされ、火花が散る。そうしてわずかに逸らされた両手剣は、俺のコートを切り裂いて床に突き刺さった。
俺のHPがジリジリと減少し、三割ほど削られる。直後に耐久力を一気に減らした長刀が砕け散った。
しかし――。
「殺ったぁ!」
絶好の機会――俺は長刀だったポリゴンを振り払って、腰のカタナに手を伸ばした。
当然、このカタナでただ斬っただけではボスを倒し切ることは不可能だ。
そう、ただ斬っただけでは。
亡者と亡霊の王の城で入手した金属で作られたこのカタナの特殊効果――『魂喰らい』。
このカタナで殺した人数分、攻撃力を1.1倍ずつプラスしていくというもので攻撃力増加量は、ラフコフ討伐戦で殺した十四人分、計2.4倍にも相当する。
カタナを抜き放って即座にカタナスキル上位剣技三連撃技『羅刹』を叩き込む。そのまま技後硬直から抜けてすぐ、次のソードスキルを発動させる。
当然、竜人もやられっぱなしではない。しかしその剣の特性上、密着状態からの攻撃は威力が著しく下がる。そこに俺の勝機がある。
「でやあぁぁぁぁ!」
――まだだ、まだやれる……! もうHPなんて気にしない。ただ、全力で叩き込む!
極限状態に陥っているせいか、俺の視界が真っ赤に染まっていた。しかし関係ない。まだ敵は倒れていないのだから。
最早何度目か分からない斬撃を叩き込んだあと、竜人の動きが止まった。
直後に響いた咆哮は、竜人の断末魔――。
竜人が無数のポリゴンに分解される中、俺はいきなり力が抜けた。とっさにカタナで支えようとしたが、直後にそれも砕け散ってしまった。
『魂喰らい』を発動させたら最後、そのカタナは消滅する。そんなことを今更ながらに思い出しつつ、その場に膝をついた。ギリギリで左手をついて倒れ込むのは防ぐ。そして気づく。視界が赤くなっていたのは極限状態だったからではなく、俺の
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