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第十話 決起
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特化の防御力では、一撃で倍の八割は……いや、絶対に一撃で死ぬ。

唯一の救いは、連撃が来なかったことだ。
竜人がゆっくりと剣を引き戻している間に、攻略組パーティーは距離を取って体制を立て直していた。しかし、今の一撃で分かった。
これは……無理だ。たった二十五人ではコイツを倒しきれない。

今回、ラフコフ討伐戦の煽りを受けて、負担が大きかったソロプレイヤーたちは軒並みに不参加状態。このボスを攻略しうるのはキリトやKoBの団長などの協力が必要不可欠だ。
この場にはカズラとアスナの二大女剣士がいるが、彼女らの攻撃力では竜人の鱗と鎧の防御力を突破できない。

この中で、唯一の光明があるとすれば、それは――。

「……はぁ、やってらんね」

俺はため息をつくと、その場できびすを返した。
おそらく、攻略パーティーはここで撤退することになる。時には撤退するのも作戦のうちというものだ。

「全員、一旦撤退します!」

予想通り、冷静なカズラの声が背後から聞こえてきて、ひとまず大丈夫だと確信する。

「――そんなことできるわけないだろうが!」

しかしそんなバカな叫び声に、俺は思わず振り返った。
叫んだのは、先ほど俺に話しかけてきた男性プレイヤーだった。槍の刃先をボスに向けてさらに叫ぶ。

「あのレッドが言ったこと忘れたのか! あんだけ言われて引き下がれっかよ!」

俺は呆れると同時に舌打ちをした。こんな状況で意地を張るヤツと、迂闊に煽りすぎた自分自身に対して。

「……アホらし。なにムキになっちゃってんだか」

さてどうする? とカズラのほうを見ると、彼女と目があった。
それは一瞬のことで、すぐに目は逸らされる。叫んだ男のパーティーが隊列を無視してボスの前に進み出たからだ。

「援護します! 攻撃に備えてください!」

カズラが言うと、彼女のパーティーメンバーはそれぞれ回避や防御の体勢に移る。
直後のボスによる攻撃を食らったのは三人。全員軽装で、HPバーがグリーンからイエローに変わり、レッドになるギリギリのところで減少が止まる。
そしてさらに、五人が吹き飛ばされた。

両手剣カテゴリの広範囲二連撃技『ブラスト』。これで誰も死ななかったのは本当に幸運だったといえる。

攻撃に巻き込まれずに済んだカズラは、すぐさま反撃に転じる。しかし、銀色の鎧に阻まれてダメージがほとんど通っていなかった。援護に駆けつけたアスナのレイピアも同じで、有効打にはなりきれない。

そんな姿を見詰めて、先ほどのカズラの目を思い出す。

「――俺がマジで助けてくれるとでも思ってんの? ホント、アホらし」

そして俺も――。

「マジでアホだわ!」

ドンッ、と音が響く。俺が向かうのはボスの間の出
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