第二十五話 少年期G
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えばあまり変わらなかった気がする。おかげでその何人かとはいつのまにか話をして、仲良くなれたけど。このお兄さんはあんまり顔を出さない人なのか、話す機会がなかった。
「……それなら丁度いい。おーい、アル坊!」
「え、何? 店主さん」
「店の中をちょっと一緒に見てやってくれ。バイト初仕事だ」
いきなりだな、おい。お兄さんも驚いて、そんなの申し訳ないって表情しているぞ。でも、宣伝以外に手伝いとかも欲しいって言っていたので頑張りますかね。店内はあらかた網羅しているので、どこに何があるのかはすぐにわかる。俺もどんなけ入り浸っているんだろ。
「すまない。迷惑ではなかっただろうか」
「いえいえ。俺も暇でしたし、バイトなのでお気になさらず。あ、お茶はこの棚の上です」
店内の端っこにある棚の中から、お兄さんが探していた紅茶の葉を見つけ出す。少し前に店内を整理して場所が移動してしまっていたらしい。時々しか来られないお兄さんはそれを知らなかったようで、いつもの場所になくて焦ったようだ。
「ありがとう、この葉が好きなんだ。月に何回かは買いに来させてもらっている」
「それで、わざわざこんな小さなお店に?」
「はは、ミッドチルダの物もおいしいのだけど……やはりふと飲みたくなるものでね」
「ふーん」
紅茶とかお茶とかの良し悪しは俺にはよくわからないな。おいしければ満足です、みたいな思考だからなのかね。高級な物より、多少安くてそれなりにいい物の方が俺は好きだから、そこまでこだわりも強くない。金がかからない性格だなぁ、自分。
『おぉっと、ここで決められてしまうのか!?』
「お、野球の中継だ」
「……野球?」
茶葉の棚が日本のブースの近くだったからか、テレビの中継の音が耳に入ってきた。時代的にいっても、このころの日本は野球がブームだった気がする。俺はスポーツに関してはほとんど見る側だったな。野球も学校の授業でやったことがあるぐらいで、テレビぐらいでしか見なかった。
ミッドチルダでは意外にスポーツ系が少なかったりする。あっても魔法競技や最近よく聞くようになったストライクアーツと呼ばれる格闘技が有名だろう。サッカーも野球もないって知った時は驚いた。地球にあったメジャーなスポーツがないのはちょっと寂しかったな。
「うおぉ、懐かしい。世界の本塁打王じゃん。やばッ、生だ生。ホームラン決めてしまえ!」
「これは球技なのかい? 私の知っているスポーツとは違うものだが」
「そりゃ格闘技とは違いますよ。でも野球は面白いですよ? 投手と打手との駆け引きとか、仲間同士で泥臭く戦うところとか、ホームラン打った時のカキーンって音とか」
「格闘技のことではなかったんだが……。しかし、そうか奥が深いスポーツなのだな」
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