第二十五話 少年期G
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世で彼は理不尽なまたは大きな力の前に亡くなった。または巻き込まれた。この情報が流れ、前世の彼の死に方と同じ運命をたどるものを呼び寄せるものになってしまっていた。理不尽な大きな力によって亡くなったアリシア・テスタロッサとリニス。そしてそれに巻き込まれたプレシア・テスタロッサのように。
もちろん運命は変えられる。定めとして決まっている道筋を変えられたから、彼女たちは生きることができた。逆に言えば、変えられなければ待つのは前世の彼と同じような死が待っていたのだ。
これから先も彼の前には、悪縁によってそういった人物が集まってくることになる。全員がそうではないだろうが、それでも……果たして彼は耐えられるのだろうか。死神は渋面を浮かべる。
ある意味テスタロッサ家に生まれたのは、今の彼にとっては幸運だったのかもしれない。なぜなら彼は知識として知っていたからだ。だから悪縁を跳ね除けられた。しかしこれから出会う者たちにも、同じようなことができる保証はない。
自身の中にある違和感に気づけても、さすがに因果までは気づかないだろう。いや、気づかない方がいいのかもしれない。無意識に手繰り寄せる人物の多くが、理不尽に死んでいく、大きな力に巻き込まれる運命を持っている。そんなことを知れば人と関わることに恐怖を覚えるはずだ。誰よりも人と関わりたいと願う彼だからこそ余計に。
「それでも、……案外あいつならそれらすらも捻じ曲げられるかもしれないのだろうか」
彼の悪縁は様々な影響を及ぼすだろう。だがその因果は、結局は用意された1つの道筋でしかないのだ。あの自他ともに認められている変人が、用意された道筋を素直に通る姿を死神は想像できなかった。むしろ斜め上に面白そうとかで突き進んでいってしまうかもしれない。
普通に何かやらかしそうである。別の意味で死神は心配になってしまった。なんせカオスと理不尽が結びついた1つの結果が、今のテスタロッサ家である。明らかになんか変な一家と一纏めにできるぐらいに変貌……えっと成長できたとオブラートに包んでおこう、という状態になってしまっていた。
あれ、本当に大丈夫だよな? 死神が冷や汗を流したのは、果たして転生した青年の今後か、それとも青年が引き起こすかもしれない今後のことか。良くも悪くも彼は発信源なのだ。未来は常に変貌する。未来を作っていけるのは、結局はそこで生きている者たちだけなのだから。
とりあえず、彼が幸せに生きていけることを祈っておけばいっか。―――と青年が聞けば、投げたッ!? と突っ込みが入れられそうなことを思い浮かべながら、安全第一を胸に武闘派の仕事に戻るため再び手を動かした。
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「ちょっと店主さん。家の母親になんてことを吹
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