9 「エリザの思惑」
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である。といっても3,4時間は保つが。
対してリーゼロッテやエリザが相手にするような、例えばアオアシラやドスジャギィだと、7時間保つこともありえる。
それが人間相手だとどうなるのか。当然ながら誰も検証したことがないため分からないが、兎に角相当長い時間あのにおい――エリアが3つ4つ離れていても感じられる程度にはキツいにおい――を体に振りまいているのだ。嗅覚が鋭い相手には武器にもなり得るというそれを。
(……やっぱり土下座もプラスしようかな……)
確かにユクモ村に彼が来てくれたら嬉しいが、それは強制ではないのだ。飽くまで彼の意思である。
エリザは人嫌いと聞いて、なんとか一度ユクモに足を向けるようこの手を使った(のだと思いたい。決して彼女自身が会いたいからだなんて不純な動機ではない……筈)が、このようなやり方はむしろ彼の足をユクモ村から遠ざけているだけなのではないかとも思う。
(…………そもそも、なんでわたしがエリザの代わりに謝らなくちゃいけないの?)
いや、ユクモ村の代表として。
わかっている。リーゼとて分かってはいるのだ。人間、第一印象は非常に大切。ペイントボールトラップをやらかした時点で印象最悪という意見も自分の中にはかなりあるが、いや寧ろ大部分を占めているが、だが村の代表として、村の一員がしたことにたいする詫びは必要だ。それが、いくらリーゼにとって理不尽なものであっても。
(それもこれも、みんなエリザが怪我してるせいじゃない。あれ、でも怪我の原因はわたしを庇ったからで…というと諸悪の根源はもしやわたし!?)
ザッザッザ
枝を草を掻き分け、時に罠のようにいい具合に地上に出ている木の根につまづきながら、リーゼロッテは鼻息荒く、ついでに足音も荒く坂を上っていた。いつしか川のせせらぎも遠のき、もしここでペイントボールのにおいがなんでもないところに付着していたものなら、完全に迷子になるだろう。いつもなら不安がるリーゼだが、今は内心がそれどころでなく荒れていた。どうも最近この手の現象が多い気がする。
(そもそも冷静になれば、エリザが短期でアオアシラを仕留められるのも当然っちゃあ当然だよね。だってあの子アシラ装備だよ? 対してわたしはジャギィ装備…。相手にしてたのがずっと鳥竜種じゃあ、攻撃パターンも身に染みてないし、勝てるわけないよね…)
誰に説明しているのか、心中でなんとなくブルーになっていたリーゼロッテは、ふと気づくと再び水音が近くに聞こえてきたことに気づいた。においはそこそこ近い。体を洗いに来たところだろうか。
(やっぱり謝らなきゃ……)
更にもう少し歩くと、再び川に出た。エリア6に似ているが、水深はもう少し深いようだ。ケルビが水浴びをしていた。首が水面から出ていることから
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