暁 〜小説投稿サイト〜
Monster Hunter ―残影の竜騎士―
9 「エリザの思惑」
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
うなものだ。
 ハナから離れないように早足でその道を辿ると、後ろからエリザの大声が聞こえてきた。

「いーい!? ハンターの印を辿るのよー!! 絶対だからねー!?」

 なんとなく、エリザがあの箱に何を仕込んだのか、分かってしまった。
 こんなところで叫んだらモンスターに気づかれるだろうとも思ったが、思えばすぐ隣、見た目よりも頑強な吊り橋を渡った先にあるエリア3はアイルーの住処がある安全地帯だし、そこを通り抜けてもすぐベースキャンプへと着けるだろう。エリザは要領の良い娘だということは十分わかっているので、もう心配はしないこととする。
 そもそも命の恩人といっても過言ではない人相手にそんなことをしようとする(リーゼロッテの予想が正しければ)エリザは、ちょっと一回メラルーの集団にアイテムを一切合切盗られればいい。その中にこの間奮発して勝ったと自慢してきたピックルグレートと虫あみグレートも入ってれば尚いい。
 気づけばハナの姿を見失っていた。やってしまったと思いつつも歩を進めると、数分もしないうちに視界が開ける。目の前には川幅10m程度の広い川。ちょっと左を向くと、滝になっているのが見えた。その下に見慣れた風景がある。ここはエリア6の滝の上なのだとわかった。

「と、いうことは…」

 この川の上流へと行けばとりあえずあのナギという青年の家の近くに出る、筈。あとは、エリザの思惑に乗るのは癪だし青年にも申し訳ないが、彼女の“ハンターの印”とやらに頼るほかあるまい。
 とりあえず会ったら開口一番謝ろう。
 濡れている足場に気をつけつつ、川辺を登っていく。途中なかなか急な流れがあったり、リーゼロッテの背丈以上の大きい岩を登る羽目になったりと大変だったが、そこはリーゼもハンターの端くれ。軽々とは行かないまでも、確実に進んでいった。
 川もだんだん細く小さくなってきて、もしこのまま彼の家に気づかず通り過ぎていたらどうしようとリーゼが少し心配になってきたとき、鼻に覚えのあるにおいが漂ってきた。方向は、前方右。

(やっぱり…ペイントボールだったんだ……)

 潰すと強烈なにおいを発するペイントの実と、粘着質なベタベタの液を抽出できるネンチャク草を調合することでできるペイントボールは、対大型モンスター用の狩猟道具である。効果は日頃多くのハンターたちがお世話になっているとおり、効果抜群。一度付着すれば5,6時間は保つ。ネンチャク草の効果で水浴び程度ではにおいも落ちないのだ。
 念のため言っておくが、その“5,6時間”という数値も、大型モンスター相手の場合で、当然相手にする個体によって持続時間は異なる。オディル達が相手にするような大型の飛竜には割合効果は薄かったりするのだ。空を飛ぶことで風圧にペイントボールの粘着液が押し流されるという説が有力
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ