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鋼殻のレギオス 三人目の赤ん坊になりま……ゑ?
第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
和解と怒りとetc……
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 時間がないのと、もっと落ち着いてリーリンと話がしたかったからだ。
 もうリーリンは泣いていなかった。
 代わりに眩い笑顔をレイフォンに向けていた。
「いってらっしゃい」
「いってきます」
 レイフォンはその場から飛び上がり、屋根を蹴りながら都市外縁部を目指した。
 それを見送りながら、リーリンは呟いた。
「……帰ってきてね、レイフォン」


 身体が軽かった。
 シキを切り裂いてから感じていた重さを感じなくなった。
 我ながら単純だなぁ、とレイフォンは都市外装備を付けられながら苦笑した。
「どうした、そんな顔をして」
 レイフォンが浮かれているのに気づいたのか、リンテンスは諌めるような声色でレイフォンに話しかけた。
「……約束したんです。話そうって」
「ほぅ?」
「だから、僕は帰ってきます」
 リンテンスはレイフォンに抱いていた不安を消した。
 今まで自殺するような顔をしていたのが、今では生き生きとしているのだ。
 何があったのかわからないが、レイフォンの精神状態に良い傾向をもたらした存在に興味が湧いた。
「今回、俺はお前のカバーだ。打ち漏らしたときは俺がケリを付けることになるが、これからは一人で出ることになる。なるべく殺しきれ」
「……逃しませんよ。逃すもんか」
 スッと、レイフォンの顔から感情が抜け落ちたが、今まで感じられなかった闘志のようなものを感じた。
 リンテンスは、それを見て唇を上げた。
「なら、やって来い、弟子」
「え? ……は、はい!! 先生!」
 リンテンスはヘルメットを被せて、レイフォンを弟子と認めた。

 後年、この時のことをリンテンスはこう語る。
 ――――魔が差した、アレは恥ずかしかった。
 ――――ザマァアアア!! 師匠ざまぁあああ!! って、鋼糸がぁあああああああ!?
 その時、とある少年が鋼糸で都市外に吹っ飛ばされたやらなんやら、というのは本当にどうでもいい話である。

 
 レイフォンが出撃していった三十分後。
 アルシェイラは寝ていた。
 そりゃもういびきを掻いて腹を丸出しにして、ヨダレ垂らして熟睡していた。
 アルシェイラはこの日を楽しみにしていた。わざわざカナリスに丸投げしていた書類を自分でやって、疲れを貯めたのだ。
 日向で寝て、もう襲ってくださいと言わんばかりだった。
 しかし、アルシェイラは目を覚ました。
 目を見開いて、身体をワナワナと震わせる。
「なんて、なんてことを……」
 アルシェイラは起き上がり、大声を出す。
「何してるの! カナリス? いいえ違うわね、あなたは後三歩くらいならいけてたわよね? ちょっと出てきなさい、ほら集合!!」
 アルシェイラが手を叩くと、いつの間にか五人の天剣授受者がその場に現れた。

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