第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
和解と怒りとetc……
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ていたら、笑いながら頭を撫でてくれる。
だが、シキは撫でてくれない。
なぜ? 寝ているからだ。寝ているからクラリーベルに笑ってくれない、撫でてくれない、抱き締めてくれない、くれないくれないくれないくれないくれないくれないくれないくれないくれないくれないくれないくれないくれないくれないくれないくれないくれない。
「シキ様、起きてください、稽古してください」
クラリーベルはシキに依存しきっていた。2ヶ月に一回だけの稽古では満足できず、一週間に何度も会うことも珍しくもない。
シキも最近では妹を持ったような気がして悪い気分ではなかった。まぁ、孤児院で小さい子供達の面倒には慣れていたという点もあるのだが。
シキも弟だ。年下の弟や妹に憧れることもある。リーリンも最初は呆れていたが、今では料理を教えるほど仲良くなった。
周りも子供の友情だと三人の身分の差に目を瞑っていたし、まさかクラリーベルの気持ちが本気だとは思っていない。
救いなのが幼いクラリーベルもシキに感じている感情が何か分かっていない。分かってしまったら、ティグリスがシキに襲いかかっていたかもしれない。……閑話休題。
クラリーベルは泣きながら、シキの布団の下に手を忍ばせる。
「シキ様」
クラリーベルは一瞬躊躇しながら、シキの手を握った。
意外に柔らかい手に戸惑いつつも、手を握って落ち着いた。
しかし、幸せな時間は長くは続かなかった。
「いやぁ、甘い甘いやり取りありがとう。胸焼けしてきたよ、ませガキ」
「なっ!?」
クラリーベルは驚きながら、後ろを向いた。そして向いて見た光景に再度驚いた。
そこには仮面を着けたら男が空中で胡座をかいていたからだ。
「なんですか、あなたは」
「人の名前を聞くときはまずは自分からだぜ?」
クラリーベルは得たいのしれない悪寒に襲われたが、ぐっと堪える。
相手に隙が見つからないからだ。シキやティグリスを見てきたクラリーベルだが、ここまでの相手は見たことがない。
たがらこそクラリーベルは相手を刺激しないように要求に答えた。
「クラリーベル・ロンスマイア」
「うん、知ってる」
男は馬鹿にしたような口調で言う。クラリーベルは歯を噛み締めながら怒りを噛み砕く。
「名前を言いましたよ、あなたは?」
「そうだなぁ……メアリー・スーだな、今回の偽名は」
気持ちを落ち着ける。相手のペースにハマったら思う壺だからだ。
しかし、腰の剣帯に手が伸びているのをクラリーベルは驚かなかった。
ただ者ではない、彼女は目の前の人物にそう評価した。
暗部、つまり暗殺を生業としている者に会ったこともあるがあれとも違う。
言うなれば気圧されているというべきか。気配だけでクラリーベルはメアリー・スーに負けていた。
「偽名
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