第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
和解と怒りとetc……
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下に言ったら、この計画は潰されてしまいます」
「それはないでしょう? あの人はそんなつまらない事をする人じゃありませんよ」
カルヴァーンの言葉を否定したのは、サヴァリスだった。
彼はにこやかに笑いながら、腕を組んでいた。
「しかし、万が一という場合が……」
「万が一も億が一もありませんよ。リンテンスさんはムダが嫌いですから」
「……まぁ、仮に知らせていてもやるけどね」
カウンティアは薙刀の石突で軽く床を叩く。
心地よい音が鳴るが、ミンスの心臓はバクバクと早鐘を打っていた。仮にカウンティアが剄を溢れ出したら、ただではすまないことを知っているからだ。
「だけど、あのクソ陛下だと全部知った上で待ち構えるはず」
バーメリンは苛立ち混じりに言う。
その態度にミンスは腹が立ったが、それを収める。ここで癇癪を起こしたら、それこそ終わりである。
「君たちの気持ちはよくわかる。これ以上、天剣の権威を陥れるような行為をさせるわけにはいかないだろう?」
ミンスがそういうと一部を除いて押し黙った。
ここにいる天剣授受者たちは、グレンダンでも有力な武門に所属する者たちだ。
カウンティアとバーメリンは違うのだが、彼女たちが参加した理由は以下のとおりだ。
「私は単純に苛立ったからだけどね」
「クソ不本意だけど、同じく」
「……それでも協力してもらえるのはありがたい」
ミンスはそう言って、一息ついてから天剣たちに宣言する。
「私が王になったら、各武門、個人にそれ相応の報酬を与えよう」
ミンスがそういうが、天剣たちは反応しなかった。
元々、金欲があまりない彼らである。だが、カルヴァーン、サヴァリス、カナリスの三人の後ろにいる奴らは違う。
レイフォンが台頭することで、自分たちの武門の影響力が下がることを懸念する者たちがいるのだ。
出る杭は打たれる、まさしくそういうことである。
「まぁ、秘策もある……心配するな」
「秘策とは?」
今まで沈黙を守ってきたカナリスが口を開き、ミンスに質問する。
「秘密だ、当日に分かる。安心したまえ、君たちの邪魔はしない」
そういって、ミンスは残った酒を勢いよく喉に流し込んだ。
その日の夜のことである。
「シキ様」
クラリーベルは寝ているシキを見ながらそう呟いた。
リーリンに劣らず、毎日病室に通うクラリーベル。ティグリスが心配するので家には帰るが、ティグリスがいない日などは病室に泊まることもある。
選定式があった日からクラリーベルは訓練量を増やしていた。
悔しかった。シキの本気に近づいてない、あの時見ていることしか出来なかった自分に憤りを感じた。
シキが教えてくれたけい技を反復し、未だに習得出来ていなかった化錬けいをこの1ヶ月で習得した。シキが見
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