第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
和解と怒りとetc……
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老生体とは、都市が半壊するほどの被害と多くの武芸者が力を合わせることで撃退できるかもしれない存在だ。
その姿はまさに変幻自在、デルクが戦った人型もいればレイフォンとシキが共闘したスライムのような姿をした個体もいるが、総じて老生体は通常の汚染獣とは隔絶した強さを持っている。それは直接的な戦闘力ではなく、個体ごとの個体能力が厄介な場合が多い。
だが、そんな化け物を一人で相手取れる存在がいる。天剣授受者だ。
老生体が汚染獣の外れた存在なら、天剣授受者たちは武芸者から外れた存在だ。
汚染獣戦では滅多なことがない限り、都市外で戦うことになる。エアフィルター内で戦うことが出来ればいいのだが、汚染獣は総じて巨体だ。
そんな汚染獣がエアフィルター内で戦えば、都市がどうなるかは火を見るよりも明らかだろう。
だからこそ相手取れる、いや相応の相手が戦わなければいけないだろう。
老生体と天剣、この二つは辛うじて均衡を保っていた。
だが、それすら凌駕する存在が出てきた。
シキという一人の武芸者である。
実力に見合った相手と戦うのなら、シキは何を相手にするのか?
レイフォン?
リンテンス?
それとも老生体を超えた存在か?
それとも月に封じ込まれた悪意か?
それはまだ誰もわからない。
汚染獣襲来が知らされた次の日、ミンスは食事会を開いていた。
円卓に贅を凝らした料理が並んでいる。
もしこれがグレンダンの一般階級の住民が見たのなら、そのあまりの豪華さに目を剥いただろうというほどである。
ミンスの正面には、招待された五人の天剣授受者が並んで座っていた。
積極的に食べていないので、料理は減っていないのでもったいないように感じていた。
食事をしていたミンスだったが、従者から聞かされた言葉に苦虫を潰したような顔をする。
「リンテンスは抱き込めなかったか」
喉に酒を流し込み、なんとか平静を保とうとする。
抱き込める確証は低かったが、抱き込めるなら抱き込みたいのが本音だ。相手は最強の天剣授受者と言われるほどの猛者であり、女王の懐刀と呼ばれるほどの人物だ。
リンテンスの鋼糸という武器を恐れているためだ。気づかぬうちにナマス切りにされていたなど、笑えない話である。
事実、彼は寝転がりながら汚染獣をバラバラにしたという話があるくらいだ。ミンスが気づかないうちに切られてもおかしくはない。
「だから言ったのです。あやつは陛下の手駒、それにこのようなことに興味など示さないと」
言葉を発したのは、五十代を迎えた老齢の男である。短く刈り込まれた髪は、苦労人気質からか、それとも単純に歳だからか、灰色の髪が所々に生えていた。
彼はカルヴァーン・ゲオルディウス・ミッドノット、天剣一の苦労人だ。
「それよりも陛
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