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清教徒
序曲その二
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まだ厄介な独裁者を生み出す結果になってしまった。
 彼は王を捕らえると処刑を指示した。しかし議会はそれに困惑した。それは何故か。
 法律が存在しなかったのである。国王を処刑する法律なぞ何処にもなかったのだ。法がなくては何もできはしない。だからこそ彼等は困惑したのである。
 だが革命とは言うならば暴力による政権の強奪である。力のある者が絶対的な権力を掌握するものだ。乱暴な言い方をすればそうなる。そしてクロムウェルこそその実行者であった。今やイングランドにおいては彼こそが絶対の法であった。その彼が言ったのだ。王を処刑せよ、と。それで全ては決した。
 こうしてチャールズ一世は処刑されることとなた。だが彼はそれを聞いても動じはしなかった。彼はまず側に残ったまだ幼い子供達を呼んだ。そしてこう言った。
「これからは私ではなくそなた達の兄に仕えるのだ」
 そして身を慎み死刑の時を待った。彼は黒づくめの服に身を包みガーター勲章をかけて処刑場に向かった。そして最後まで王であり、王として死んだ。王の首を見た多くの者は憤りを露わにしたという。彼もまた王として立派であった。だからこそ彼の支持者も多かったのだ。同時にクロムウェルへの反発者も多かった。
 王が死んでもまだ戦いは終わらなかった。これはそうした清教徒革命における一つの恋の話である。人々はいかなる時代においても恋を忘れることはできないのである。

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