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くらいくらい電子の森に・・・
第十七章
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と一緒で要領の悪い奴だったが、それだけに俺の気持ちを分かってくれた。

――なんで俺は、こんなことに。

『君は、素直すぎたんだ。伊藤も、渡辺も、関も、実力で役職に就いたわけではないんだよ。皆、頼れる上司の後ろ盾を得て昇進した』
俺を小会議室に呼び出した『あの人』は、そう言って目を細めた。

『…紺野君も、その一人だ』

目の前が真っ赤になった。紺野…お、お前は、お前はァァ!!
“好きなものが作れればそれでいい。出世とか、めんどいじゃん”そう言ってたくせに!!
あれは嘘か。俺を出し抜くための狂言か!!
…畜生!畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生!!
なんであいつばかり…!!
俺のほうがレベルの高い大学を出ているのに!なんで世の中はあいつばかり!!

『私は、君を応援したいんだ。その為には、お互いに信頼関係が必要だね』

――俺に、迷う余地なんてなかった。俺はようやく、昇進の糸口を掴んだのだ。この人に尽くし、そして地位と名誉を手に入れて、俺を蔑んだやつらを全員見返してやる!

――無邪気にそう思った。それだけだったのに。

でも今、俺は取り返しのつかない所にいる。…白石は、もう間もなく死ぬ。俺に救われる道なんてあるはずない。…ははは。俺はまた性懲りもなく利用されたんだ。それとも、これは呪いか。俺達が殺した、あの男の呪いか。だから俺は、白石を齧り続けることが止められないのか。白石の血で『オムライス』と書き続けることを、止められないのか。
…畜生、何が『友達』だ。お前が意地を張らずに情報を売れば、こんなことにならなかったのに。もう俺の人生は台無しじゃないか。なのに、さらに呪いだと!

――もう呪いでも何でもいい。さっさと殺してくれ。

からりと引き戸が開く音がした。
小さい。さっき、俺に飛び掛ってきた4人の男より、ずっと弱そうだ。多分、白石の次に出てきた白い女くらいに、弱い。
何か、叫んでいる。頭痛をこらえながら、ゆらりと立ち上がった。…有難い。

こいつを殺している間は、白石を殺さなくて済む。



弱々しい悲鳴が、4階に続く階段から聞こえてきた。
「流迦、先に行くぞ!ゆっくり来い」
そう言い残して、紺野さんは階段を駆け上がっていった。僕と柚木も、息を切らせながら続く。…間に合ってくれ、お願いだから…そう祈るしかなかった。

だけど、階段を昇り切った僕らを迎えたのは、凄惨な地獄絵図だった。

開け放たれた流迦ちゃんの病室に、4体の死体が転がされていた。3人は白衣を血に染めて、身じろぎもぜず空ろな目で天井を睨んでいた。
…1人だけわずかに蠢いていた。壁一面、赤黒い文字が埋め尽くしている。『オムライス』『オムライス』『オムライス』…背中を、氷の塊が伝うような悪寒が走った。
病室の中央に、
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