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くらいくらい電子の森に・・・
第十七章
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ば助かっても、生きていけるの?筋肉も骨組みも砕かれて」
びくり、と人間の塊が震えた。
「う…うぁあぁぁ…」
「流迦、やめろ!」
一喝して、紺野さんが大股に歩み寄る。
「大丈夫か、今すぐ人を呼ぶからな!」
紺野さんが彼らに手を触れようとした瞬間、なんだかひどく嫌な寒気が全身を襲った。…烏崎は、あの音楽が流れ続けるノートパソコンを抱えていて、この人たちは襲われている間、ずっと聞いてたんだろう。だったら、彼らはもう……
僕が無意識に紺野さんの腕を掴むのと『それ』が飛び掛ってくるのは、ほぼ同時だった。
「紺野さん、こいつやばい!!」
「なっ……」
紺野さんはほんの少しだけ横に傾いだ。…それが、命運を分けた。
『それ』は俊敏な動作で紺野さんの横をすり抜け、彼の後ろを固めていた松尾の首にかじりついた。甲高い絶叫をあげてもがくけど、もう遅い。4本の腕は、がっちりと松尾を押さえ込んでいた。…駄目だ、もう救えない。目の前で展開される惨劇を見たくなくて、僕はぎゅっと目を閉じた。

――ごとり。

『それ』は、ふいに力を失って崩れ落ちた。コヒュー、コヒュー、と、息が漏れる音が、胸元から聞こえる。松尾は半狂乱で『それ』の下から這い出した。
「ひっ…なんだよ、なんだよこれ!!」
「残念。今ので折れた肋骨が肺に刺さって、穴が開いたわ。もうどうやっても助からない。…あとは苦しむだけだわ、そっちの…警官。拳銃持ってるんでしょ。とどめ、あげたら」
「無茶を言うな、瀕死の民間人に発砲できるかっ!」
流迦ちゃんはくすりと笑って、浴衣の袖を翻して血を払った。
「不親切ね」
「流迦、余計なこと言うな。…この奥に少なくともあと1人いる。今回の一連の事件に関係している男だ。捕獲してくれ」
傍らでうずくまって嘔吐している松尾の代わりに、後藤が首を振った。
「無茶だ。そもそも俺たちは『こんな状況』を想定してない。今出来るのは、現場を封鎖して応援が来るのを待つことだけだ」
「…頼むよ。後輩が中にいるんだ。それだけじゃない、入院患者も沢山いるんだぞ。拳銃を使えるのはあんただけなんだ!」
「だから無茶を言うな!俺達はバイオハザードやりに来たんじゃねぇんだぞ!こんなのは刑事じゃなくSATの仕事だ!…その後輩には気の毒だが、現場は一旦封鎖する!一刻も早くここを出ろ!!」
後藤の怒鳴り声が終わる前に、紺野さんは奥に向かって駆け出していた。



――あれ?私のエリアに、何か入ってきたみたい。
『オムライス』って書き続ける手を止めて、マイクが拾う音に集中する。『赤い絵の具』は、もうぼろぼろ。それに断面が乾いてきちゃった。『木偶』に、肩の肉を齧り取らせると、新鮮な赤い絵の具があふれ出した。絵の具はまた、びくって震える。『コロシテクレ』って、性懲りも無く呻く。木偶
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