第十七章
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私のライブカメラも含めた防犯カメラも、あの子たちのもの。ことによっては、医療装置も操れるかもね」
ふいに笑いをひそめて、キーボードに指を滑らせた。
「…で、手始めに、病棟全員参加の殺し合いを仕組んだ」
「そ、そうだ、どうしよう、このままじゃ全員…!!」
「心配ない」
「え?」
突然、騒音が途絶えた。黒いDOS−V画面がディスプレイに表示されて、メッセージが目にも止まらない勢いで上方に流れていく。
「院内放送は、私が抑える」
DOS−V画面を睨んだまま、絹がかすれるような声で呟いた。
「だから私はここに残る。あなたたちはこの病棟を出て、中央制御システムを叩き壊して来なさい」
「流迦ちゃん、駄目だ。制御システムが暴走してるなら、ここだって危ないんだぞ!」
紺野さんが、烏崎の死体を抱えたまま叫んだ。
「この部屋だけなら、中央制御システムの影響から守りきれる。…正直、ここまで走っただけでも息が切れた。私が一緒に行っても足手まといよ。…だから、私の体力が持つ間に、システムを破壊しなさい」
そう言って、薄く笑った。
…偶然かもしれないけど、僕がよく知っている、あの優しい声だった。
こんな場所に1人で置いていかなければいけない現状に、胸が痛む。言うことは思いつかなかったけど、何か言おうと思って顔を上げたその時。
「それは困るね、狭霧君」
全員、弾かれたように声の主を振り返った。いやに柔らかく、大勢に聞かせることを前提にした発音で話すこの声に、確かに聞き覚えがあった。
病室のドアにもたれかかり、『あの男』が笑顔を湛えて僕らを見渡していた。
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