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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
異端者の最後
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ている。
主を攻撃されたことに敵意を感じたのか、アリ達がカチャカチャと自らの歯を打ち鳴らす。だが、それを茅場は一瞥すると、大剣を何の気負いもなく振り払った。その刃には、炎のごとき過剰光が包んでいる。
たった、たったそれだけの動作でアリ達は綺麗に燃え上がって、消滅した。
こぼれんばかりに見開かれたエクレアの眦から、涙が盛り上がる。
そんなエクレアを見下ろし、茅場は言った。
「時間稼ぎご苦労だったな、エクレア君。さすがに七の神器をジェネ レートするのは骨だからな」
そして茅場は無言で笑う。そこにあるのは、完璧な無。
せせら笑うのでもなく、嘲るのでもなく、侮蔑するのでもなく、蔑むのでもなく、茅場は笑っていた。
「や、約束は果たしました!だから彼に……エンケイに会わせてぇッ!!」
こんな場面でも、まだエクレアは茅場を信じているらしい。
悲痛な絶叫が、レンの聴覚を揺らす。そしてその声は、決して茅場の心には届かない。
「あぁ、そんなことも言ったな」
茅場はゆっくりとしゃがみ、エクレアの目線に合わせた。そして不自然に優しげな声で言う。
「あれは嘘だ。命はそんなに軽々しく扱うべきものではないよ。彼の意識はもはや永遠に戻ってはこない。死者が消えるのはどこの世界でも一緒さ」
「……………………」
時が、止まった。今度こそ表情を欠片もなくしたエクレアが顔を俯かせる。そして───
「……………ぁ。あはっ、あっはっはははははははははははははあはははははははあっはあははは───!」
高らかに笑い出した。
ぎょろりと剥いた眼に浮かぶ凄絶な光に気付き、レンは思わず叫ぶ。
「エクレアねーちゃん!だめだッ!!」
その声はもはや完全にエクレアには届かない。
エクレアは唯一残った『キング・アウント』に、糸の切れた操り人形のような動きで顔を向けると、短く、けれど圧倒的な威厳の含む声で命じた。
「喰ってぇ」
その声が主のいないボス部屋の隅々まで響く前に、『キング・アウント』は忠実に己の主の命に従った。それはすなわち───
がりごりぐりべちゃごきばりべしめきぼりむしぽりぼりがりかりくちゃこりぺきぱりこきめしぺきごきごりがきごりぐしゃめしゃかりこりごしゃごりかりこりがりかりごきごしゅごちゃばりぼりべりぺきぽりかきこりめきめしぼきこりぐちゅぐちゃばりぼり───
おぞましい音が、ボスのいない部屋に響き渡った。
それは、
下僕の王が、女王を喰らう音だった。
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