投刃と少女
とあるβテスター、参戦する
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うと断言できる。
アルゴはいくら金を積まれようと、ベータの情報だけは絶対に売らない。それはあいつが自分で言ったことであり、彼女は仕事に関して嘘はつかない。
だとすれば、残る可能性は。
キバオウに俺の情報を与え、妨害工作を働くように仕向けた人物は。
それは───
「みんな、下がれ!オレ達が出るっ!」
……と、俺がそこまで考えた時。
それまで指揮に徹していたディアベルが一際大きな声で叫び、自ら敵に向かっていく。
彼の視線の先には、HPゲージを最後の一本まで削られ、とうとう骨斧を投げ捨てた亜人の王。
腰から湾刀《タルワール》を抜き放ち、自分に立ち向かってくるディアベルらを粉砕すべく、雄叫びを上げた。
「一気に片付けるぞっ!」
敵が湾刀《タルワール》を抜いたことで、ボスの使用スキルが変更された可能性はないと判断したのだろう。
青髪の騎士は、自身のパーティメンバーであるC隊の五人と共に、全員でコボルド王を取り囲む。
───やっぱり、あんたがそうなのか、ディアベル……?
あのキバオウから、絶対の信頼を寄せられていたディアベル。
恐らくは、この状況で自らLAボーナスを獲得すべく動き出した青髪の騎士が。彼こそが、俺に対する妨害を仕組んだ張本人だろう。
キバオウのベータテスターへの反発心を利用し、妨害工作のための手駒として利用した。
そして、彼が俺の存在を知っているということは……それは、彼自身がベータテスト出身者であるということを意味している。
───だけど、まだ何かある。
俺の武器を買い取ろうとしたキバオウ。あの不可解な行動については、ディアベルが黒幕なのだとすれば辻褄が合う。
ベータ当時から俺の存在を知っていたディアベルが、俺がボス攻略戦に参加するであろうことを予想し、彼に指示したのだろう。
恐らく俺達四人が後方に回されたのも、ボスに直接攻撃でもされればLAを奪われると思ったからに違いない。
そこまではわかる。陰でコソコソと妨害工作されていたのは決していい気分ではないが、彼がそういった行動を取りたくなる気持ちもわからなくもない。
───だが、さっきのキバオウの言葉はなんだ?
今までの問題が解決したのと同時に、今度は新たな疑問が浮上する。
『ジブンら二人がおるのは、大方卑怯もん同士で手ぇ組んだっちゅうことなんやろが!』
───ジブンら?二人?
キバオウが言う二人とは、俺とユノのことで間違いないだろう。
事実、先ほどから彼は俺とユノの顔を交互に見て、憎しみの籠もった目で睨めつけてくる。
だが。LA狙いのプレイスタイルを取っていた俺とは違い、ユノには彼らから警戒される理由がないはずだ。
───だというのに、キバオウは俺達に対して『卑怯もんどもが』という言い方
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