投刃と少女
とあるβテスター、参戦する
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いた。
「……何だって?」
言われた意味がわからず、振り向きざまに聞き返す。
いつの間にか俺達の近くにいたサボテン頭の男は、俺に───否、俺達二人に対し、憎しみと皮肉の籠もった表情を浮かべていた。
隣にいたユノも、表情は窺えないが、フードの下で眉をひそめていることだろう。
「ヘタな芝居すなや。こっちはもう知っとんのや、ジブンらがこのボス攻略部隊に乗り込んできた動機っちゅうやつをな」
「……、意味がわからないんだけど。誰かと間違えてない?」
「開き直んなや、卑怯もんどもが!」
押し殺した声でユノが尋ねると、キバオウはその態度が気に入らなかったのか、苛立った声で激昂した。まったくわけがわからない……。
「キバオウ、何が───」
言いたいんだ、と、理不尽さに歯噛みしながら聞き返そうとした俺は。
次にキバオウが俺に言い放った言葉により、一瞬思考が停止した。
「わいは知っとんのや。ちゃーんと聞かされとんのやで……あんたが昔、汚い立ち回りでボスのLAを取りまくっとったことをな!ジブンら二人がおるのは、大方卑怯もん同士で手ぇ組んだっちゅうことなんやろが!」
「……な、に……?」
LA《ラストアタック》。とどめの一撃。
SAOでは、ボスに最後の一撃を加えて止めを刺したプレイヤーに『LA《ラストアタック》ボーナス』が与えられる。
LAボーナスを獲得したプレイヤーには、他より多くの経験値やコル、更には二つとない貴重品《ユニークアイテム》が与えられる。
俺はベータテスト時代、ボスのHPがなくなるギリギリのタイミングで強力なソードスキルを叩き込み、LAボーナスを獲得するのを得意としていた。
だが、それはベータの時の話であって。
俺のプレイスタイルを知っている人間は、アルゴのような元ベータテスター以外にはありえないはず───
───まさか。
不意に。
ここ一週間の間で何度も抱いた疑問の答えが、脳裏に浮かび上がった。
キバオウはここ一週間、アルゴを通じて俺の『アニールブレード+6』を買い取ろうとしていた。
何度断られても交渉を諦めることはせず、しまいには相場価格を大幅に上回る大金を積んできた。だが、そうまでする理由はなんだ?
反ベータテスター主義を掲げるキバオウ。そんな奴が、そうまでして俺の武器に執着する理由。
奴の言葉から察するに、恐らくその目的は、俺の攻撃力を削ぐことによるLA獲得の妨害。
───なら、キバオウに俺のベータ時代の情報を与えたのは?
情報と聞いて真っ先に浮かぶのは、やはりというか『鼠のアルゴ』だ。
俺はアルゴとベータの時からの顔見知りだし、当然、彼女も俺のプレイスタイルを熟知している。
この条件であれば、彼女が金を積まれて俺の情報を売った、と解釈するのが妥当だが……それは違
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ