投刃と少女
とあるβテスター、参戦する
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いうのにも関わらず俺の傍まで走り寄ると、背後に隠れるようにして“飛んできたもの”へと視線を向けた。
「アスナ!?どうし───うおっ!?」
「きゃああ!?」
た、と俺が言い終えるよりも早く。
再度飛んできた“同じもの”が俺達の足元へと転がり、それを見て二人同時に悲鳴を上げた。
───な、なんつー戦い方してるんだよ……!
ボス戦の最中(といってもオマケみたいなものだが)だということも忘れ、二人分の悲鳴の原因となった、残るパーティメンバーの戦いへと目を向ける。
フードで顔をすっぽり覆い隠した、小柄な体格の短剣使い───ユノ。
戦闘中は邪魔になるからかフードは被らず、ユノよりも更に小柄な体躯であるにも関わらず、両手斧を軽々と振り回す中(小?)学生くらいの少女───シェイリ。
このボス戦における臨時パーティメンバーであり、昨日の会議の際に俺達を誘ってくれた二人組だ。
「む、無理……!シェイリ、はやく……!」
新たに湧いたセンチネルの攻撃を短剣で受け止め、鍔迫り合いに持ち込むユノ。『接近戦は苦手』と本人が言っていた通り、その戦い方は随分と危なっかしい。
筋力パラメーターが低めなのか、水平に構えた短剣で斧槍の刃を受け止め、空いた手を短剣に添えることで何とか持ち堪えているといった具合だ。この分では、ソードスキルを発動させる余裕もないだろう
彼の動きはペアで迷宮区に篭もっていたにしては、あまりにもお粗末と言わざるを得なかった。
「はいはーい!いっくよー!」
今にも打ち負けそうな彼をハラハラとした気分で見守っていると、弱音を吐くユノとは対照的に、場違いに楽しそうな声が聞こえてきた。
鍔迫り合いに持ち込まれたことによって必然的に動きを止めたセンチネルに、両手斧を担いだシェイリが側面から迫る。
両手斧 突進技《バスターチャージ》
まさに猪突猛進といった様相で敵にタックルを食らわせ、体勢を崩した敵に対し、両手斧による回転斬りのコンビネーション。重量のある両手武器ならではの豪快な技だ。
筋力パラメーターにものをいわせた強烈な一撃を、力任せに喉元へ食い込ませ……そのまま、首から上を文字通り“吹き飛ばした”。
すぽーん、といった擬音が思わず浮かぶほどあっけなく。
胴体から切り離されたセンチネルの首が宙を舞い、カランカランと音を立てながら俺達の足元へと転がり、一秒ほど間を置いてからポリゴン片へと姿を変えた。
「………」
「………」
まるでB級ホラー映画の演出か何かのような光景に、二人揃って絶句してしまう。
───相手がモンスターとはいえ、斬首とは……
あまりにもむごい殺し方をする二人組に、近くで戦っていたD隊のリーダーである両手剣使いの男が、信じられないものを見るような顔で二人を交互に見つめていた
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