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とあるβテスター、奮闘する
投刃と少女
とあるβテスター、参戦する
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よう、長身の両手剣使いがリーダーのD隊、キバオウ率いる遊撃用E隊、長柄武器装備のF隊で取り巻きのセンチネルを足止めする。
例えボスの取り巻きといえど、迷宮区に徘徊している一般モンスターよりは遥かに強敵だ。しかも『ルインコボルド・センチネル』は、頭と胴体の大部分を金属鎧で頑強に守り、鎧の継ぎ目や喉元などのごく狭い範囲にしか攻撃が通らない。
三匹いる取り巻きのうちの二体をD、E、F隊がそれぞれ相手取り、俺達の担当は殲滅が追い付かなかった三匹目───要するに、殲滅部隊の尻拭いだ。

「アスナ!スイッチ!」
片手剣を構えながらセンチネルと相対し、敵の持つハルバードが突き出された瞬間、狙い通りのタイミングでそれを迎撃する。
身体の捻りを加えた逆袈裟斬り。俺の剣は敵の斧槍の柄に激突し、甲高い金属音を響かせた。
こちらの胴体を貫こうと迫っていた斧槍は火花のようなエフェクトを散らしながら跳ね上げられ、センチネルが体勢を崩したのと同時、俺はすかさずバックステップで距離を取る。

そして、

「三匹目っ!!」
次の瞬間には、細剣を構えたアスナが目にも留まらぬ速さで肉薄していた。

細剣 単発刺突技《リニアー》

細剣カテゴリで最初に習得できるソードスキルで、剣を身体の中心に構え、捻りを入れつつ直線に突くだけのシンプルな技だ。
凄まじい速度で突き出されたレイピアの先端がセンチネルの無防備な喉元を捉え、急所を突かれたモンスターはポリゴン片となってあえなく四散する。

───やっぱり、速い。とても初心者の動きとは思えない。

同じ技を何度も見ているはずの俺ですら、速すぎて剣先が見えないほどの一撃。ここにきて更に速度が上がっているアスナの剣裁きに、改めて舌を巻く。
迷宮区で初めて見かけた時から思っていたことではあるが、アスナの技は手練のそれといっても何ら遜色がない。
初心者……そもそもMMO自体SAOが初めてだと本人は言っていたが、既に一般プレイヤーからは頭一つ飛び出した強さを持っているだろう。
それほどまでに、アスナの《リニアー》は戦慄せずにはいられない完成度を誇っていた。

「GJ《グッジョブ》……!」
まったくの初心者だというのにも関わらず、これほどの動きをいとも簡単にやってのける、もはや天性ともいえるバトルセンス。
このまま成長すれば、一体どれほどの剣士になるだろうか。
そんな彼女の可能性に思いを馳せながら、パーティメンバーたる少女に小声で賛辞を送る。

「……?あなたも───」
恐らく意味がわかっていない(MMOという言葉の意味すら知らなかったのだから、無理もない)であろう賛辞に、彼女が応えた……瞬間。

「──っ!?ひっっ!?」
“横から飛んできた何か”を視界に捉えたアスナは上擦った悲鳴を上げ、戦闘時だと
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