投刃と少女
とあるβテスター、参戦する
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ずの二人が事前に接触済みであるということ。にも関わらず、あの場でキバオウが行った、元βテスターを炙り出そうとする行為……。
これらが偶然によるものなのか、それとも何か意図があってのことなのか。そのどちらなのかを判断できるほどの材料はない。
だけど……僕とキリトの二人を見た時の、彼の不審な態度。あの時ディアベルが一瞬見せた表情が、僕の頭から離れなかった。
あの、嫌悪感とも警戒心とも取れる、なんともいえない表情が。
「……、何にせよ、何事もなければいいけど」
「?ユノくん?」
「あ、ごめん」
どうやら無意識に言葉に出していたようで、隣のシェイリが不思議そうな顔をしていた。
何でもないよと言って、グルグルと頭の中に渦巻く疑問を胸に仕舞い込み、僕自身も気を引き締める。
───そんなことを考えている場合じゃない。
ディアベルが僕たちの何を警戒しているのか、それはわからない。だけど、今はそんなことを気にして、集中力を欠かすわけにはいかない。
正式サービス開始後初となるフロア攻略戦。死と隣り合わせの戦いが、すぐ目の前に迫っているんだから。
───そうだ、今は。今は、目の前の敵を倒すことだけに集中しろ───!
行くぞ!というディアベルの掛け声と、重い二枚扉が開く音を聞きながら。
ランナーズ・ハイにも似た気分の高揚を感じつつ、僕は手にした短剣を力の限り握り締めた。
────────────
アインクラッド第1層ボス部屋。左右20メートル、奥行き100メートルという長方形の形をしたフロアだ。
その最奥に位置する玉座にてプレイヤー達を待ち受けていたボスモンスターの名は、『イルファング・ザ・コボルドロード』。身の丈2メートルはあるであろう巨大な体躯に、武骨な骨斧を携えた亜人の王。
周囲には『ルインコボルド・センチネル』という名の側近を三体従えている。
ゲーム開始後初のボス攻略部隊となる46名と、亜人の王率いるモンスター勢の激突が始まってから、既に十数分以上が経過していた。
「A隊、C隊、スイッチ!」
ディアベルの指示を受け、A隊を構成する六人がソードスキルを放ち、下がったA隊と入れ替わるようにしてC隊のメンバーが前へと躍り出た。
「来るぞっ!B隊、ブロック!」
「任せろ!おらあああ!」
コボルド王が振り下ろそうとしていた骨斧を、B隊のリーダーであるエギルが両手斧で弾き返す。
「C隊、ガードしつつスイッチの準備……今だ!交代しつつ、側面を突く用意!」
ディアベルがその場で長剣を振り下ろすのと同時、C隊の盾装備剣士が骨斧を防ぎ、その隙にB隊が側面から回り込み、ボスを包囲して攻撃を開始。
「D、E、F隊!センチネルを近付けるな!」
「了解!」
攻撃中の部隊を背後から襲われない
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